ちゃーちゃん@中国瀋陽

オンライン中国語講師|中国語ネイティブの発音と、より楽しく学べる方法を模索中|漫才や“脱口秀”など、面白い事(言葉遊び)が大好きな関西人

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これから日中国際結婚をお考えの方へ ~「家族」とは?~

日本でいう「紅白歌合戦」よりも権威を持つ、中国の「春節聯迎晩会」。

その番組が始まる前、安倍晋三内閣総理大臣の新年の挨拶が放映されたことからも、

政治においても日中関係に、さらに暖かい風が吹こうとしている。

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また外国人労働者の受け入れ拡大からも、私達のような日中国際結婚者数が

これからますます増加していくのではと、密かに思い描いたりしている。

一方で日常生活に潜む「違い」もあり、離婚率は高いとも言われる。

そこで、今日は日中の違いの代表格にまつわる話を、取り上げてみたいと思う。

 


 

中国で生活をして、もうかれこれ10年以上になるが、中国側の家族や親戚と生活を

共にするたびに、「中国のことを本当に理解できるには後どのくらいかかるのだろう」

という気持ちになる。

 

日本と中国は見た目もそれほど変わらず、箸も漢字も使用するところも共通する。

少し話は逸れるが、おもしろいデータがあるのでご紹介したい。

「漢字だけでやり取りをした時、果たして日本人と中国人は意思疎通ができるか?」

この問いかけに、皆さんはどのように答えられるだろうか?

 

日本語と中国語の漢字の意味は49%は同じだという。しかし51%は異なるのだ。

つまり過半数以上の漢字を、自分の知識や価値観だけで理解をしようとすれば、

間違ったり、誤解をしたりしまう可能性が潜んでいるのだ。

これはどこかでも聞いたことのある話。そう、我々も同じではないだろうか…。

 

(欧米人と比べると、)心のどこかで「そこまで大きな違いはないでしょう」

「なんとなく分かり合えるのでは?」と考えていると、思わず誤解やすれ違いを生んでしまう。

 

そのすれ違うトピックのひとつに「家族」に対する考え方があるように、私は感じている。

もう少し正確にお伝えするならば、家族を指す“範囲”が異なるように思う。

これは以前にもブログで記事にしたが、家族の範囲が中国の方が随分と広く、大きい。


実は国慶節の時も、先日の春節でも、“家族”が集まるとどうも納得できないことが

必ずといってよいほど発生していた。

どんな出来事だったかを、少しご紹介したいと思う。

 

国慶節(我が子の絵本、ビリビリ事件)

我が子と10か月違いの従兄妹、ミンミン(義弟夫婦の子供)。

去年の国慶節、北京から祖父母、両親と共に家族団欒のため瀋陽へ。

ミンミンが我が子の大切にしている絵本を、瀋陽に到着して3日間で4冊ビリビリに破る。

中国の方は子供がする事には寛大で、誰もそれを咎めたりしない。

5冊目に手をかけた時、ビリビリに破られた本を見て、私の前だけで昨夜大泣きした

我が子の顔が浮かんだ私は、居てもたっても居られず「にぃにが好きな本だからね」と

ミンミンの手から、本を抜き取り違う場所に移した。

 

しかし後で主人から大目玉を食らう。

(主人はその場にはおらず、義弟から聞いたと次の日に話してくれた内容によると)

「家族や親戚みんながいる前で、子供から本を奪い取った。義弟の奥さんはショックで、

夜に大泣きしたとのこと。どうしてそんな愛のない行動ができるのか?」

 

さらにそのことでご両親にも呼び出され、行動が理解できないと悲しまれた。

義父に「息子(主人のこと)と仲が良く結婚生活に問題なければいいが、わしはどうも

きみの行動が分からないときがある」と言われ、肩を落とされた。

 

「我が子が大切にしている本を破られ、我が子が夜にその本を見つめて泣いている

姿をみて、母親として耐えられませんでした」と訴えたところで、

治外法権が適応されているかのように、“裁判官”は全て中国人。日本人である私の背景や

文化、気持ちを分かってくれる人は、主人を除いて周りにはいなかった。

(主人も中国人裁判官ではあるものの、外国人と言う情状酌量の余地があるとの判決)

 

結局は義弟夫婦を始め、ご両親に「本を“奪った”謝罪」をしたこと。

主人が「彼女は中国語を話せるが、あくまでも外国人。海外で一人ですべてを抱え生活を

しているだけで、我々には計り知れない苦労があるのを理解してあげてほしい」という

鶴の一声があったこと。

義弟さんの「家族だから許すも許さないもないですよ。嫁も悪かったと思います」という

謝罪と包容力のある言葉。

そして義弟奥さんの「私も感情的になってごめんなさい」との話になり、事件は無事和解となった。

 

春節(主人は「ミンミンのパパ?」事件)

前回の国慶節の反省を踏まえ、特にミンミンに対する周りの行動に疑問を感じた場合、

すぐに主人に相談し、中国人の考え方を処理方法を確認するよう、特に注意を払うように

心がけ、春節我々はご両親の元に戻り、親戚も集まり、団欒の7日間を過ごす。

 

4日目、温泉付きのホテルで1泊。総勢12名の大所帯。

ミンミンは以前にも増して「超」が頭に3つ付いても足らない程、ワンパク悪戯っ子に成長中。

食事中もレストランを右に左に駆け回り、ご飯も食べずに暴れ放題。

ご両親と義弟夫婦は何事もないかのように座って食事。

主人は食事も取れず、ミンミンの面倒を必死に見ている。

我が子もミンミンに触発され、食事を終えると駆け回り始める。

 

どうしてパパママである義弟夫婦が、ゆっくりと優雅に食事をとっているのに、

私達夫婦は子供達二人を、ご飯も食べず必死で見ているのだろう?

せめて自分の子供は自分たちで面倒を見るべきだろう? と思えて仕方なかった。

ただ前回のこともあり、それを口に出すことはなかった。

 

結局ホテルで過ごした1泊2日だけでなく、主人は春節の7日間、ほぼほぼミンミンの

面倒を見て過ごした。

(義弟夫婦は医者ということもあり当直もあるので、家にいない日もあった。)

 


 

なぜ? なにが?? どうして???

そんなことを思いながら、家族の行動を色んな方面から考えていると、一つの考えが浮かぶ。

 

もしミンミンが我が子の本当の弟なら(実子なら)、私はどう捉え、行動する?

 

絵本については“取り上げていた”かもしれないが、(叱る教育も含め)もっと丁寧に

本の大切さについて話した。あるいは年齢的に仕方ないと諦めていたかも知れない。

主人がご飯も食べられずに面倒を見ることに対しては、「父親なんだから仕方ない」と

“特別な”ネガティブ感情が発生することなく、過ごせていたと思われる。

 

そこで始めの話に戻そう。

(少なくとも我が家は)「家族」の範囲が日本人の一般的な考え方に比べれば、非常に広い。

義両親、我々夫婦+我が子、義弟夫婦+ミンミン、つまり8人は一緒に暮らしていなくても家族。

それ故にミンミンも我が子同様であり、主人が面倒をみようと、義弟が面倒をみようと

同じことなのだ。

 

そして先日。そのことを裏付けるようなツイートを目にする。

 

中国生まれ日本育ちの在日中国人のJIDAN@ (@tamago_jidan) | Twitterさん。

JIDAN@さんは「一族」と言う言葉を使われ説明されたが、日本人である私にはまさに

「家族=一族」という方程式を頭に入れておくと、色んなことがしっくりくる。

  

話しは少し飛躍するが、このような一見同じように捉えるであろうと思うことが

全く違う捉え方をされ、さらにその考え方の違いを(文化の違いから、相手からも)

受け入れてもらえない状況が起こり得るかもしれないのが、国際結婚だったりする。

 

さらに相手側の国で生活をするというのは、自分の考えに賛同してくれたり、

配偶者を含む“家族”、あるいは友人を含む周りの人たちに、「異議あり!」を声高らかに

叫んでくれる人がいない可能性も十分ありえることを、覚悟しておかなければならない。

 

「結婚は二人の問題だから…。」

確かに中心はその通りなのかもしれない。しかし中国の方を配偶者に選ぶ場合、

(我が家までべったりではないかもしれないが、ほぼ高い確率で)家族の意味が

「一族」となり得るのは、心得ておくべきである。

 

(日中国際結婚に限ったことではないかもしれないが、)文化や習慣が違うのだから、

「そんなことが発生するの?」と予想だにしないことが、“大問題”となって

引っ切り無しにやってくる。

それを配偶者と力を合わせ、時にはうまく誘導しながら、時には片目をつぶりながら

二人で乗り越えていかなければならない。しかも同時に言葉の壁もよじ登ってでも、

しがみついてでも、越えなければならない。 それが国際結婚だと思う。

 

ただそれ故に、私自身を振り返れば毎日いろんな話を共有し、少しの疑問があれば

確認してきたおかげで、今まで主人と築き上げてきた絆は固く強いと思う。

もちろんそれに胡坐をかくつもりはない。また問題は一つ越えたと思った先に、

更に大きな一つが待ち構えていることもざらにあり、ますます二人でパワーアップを

しなければと改めて感じている。

 


 

今日いつもと少し違い、中国の方の「家族観」を、私の体験談を踏まえた記事となり、

中国の“家族”に刃を向けるような内容、そして厳しい意見もあった。

しかし今更と言われるかもしれないが、中国の家族を批判している気持ちは決してない。

それどころか、「分からない」と言いながらも、「でもあなたも大切な家族の一員だから」と

私のことを必死で理解しようとし、受け入れようとしてくれる義両親、義弟夫婦に

心から御礼の言葉を申し上げたいと思う。

そして一番は、いつも私の傍で盾になり、コーチとなり、私を守り導いてくれる主人に

尊敬の念と感謝の気持ちを贈りたいと思う。

 

また今まで家族に対するモヤモヤが、JIDAN@さんのツイートにより、

「『家族=一族』という考え方は間違ってなかった」という思えたこと。

そしてそう思うことで、これからの付き合い方に良い変化をもたらせてくれると、信じてやまない。

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今までの接し方を反省しつつ、これからどう振る舞うべきかを具体的に考える機会を

与えていただけたことに感謝をしつつ、これからもこの中国でしっかり地に足を付け、

生活していこうと思う。

 

 

追記:

 「家族観は結婚前によく話し合っておくべき」と言われる内容ではありますが、問題がどこにあるか、そもそも話し合っておくべき問題が何なのかにも、文化や習慣、考え方があまりにも違い過ぎて、気付けない状況にいる方も、中にはいらっしゃるかもしれません。

 その人たちの何か参考になればと、これからも日中国際結婚をし、中国の日常生活の中で感じる“日中文化摩擦”と、家庭内から始まる“日中友好関係”を、これからも私なりに発信していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

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