日本の民間非営利団体「言論NPO」(工藤泰志代表)と中国国際出版集団は11日、東京都内で記者会見し、共同世論調査の結果を発表した。相手国に「良い」「どちらかといえば良い」との印象を持つ中国人は42・2%(前年比10・7ポイント増)と大幅に上昇。日本に「良い」印象を持つ中国人が4割を超えるのは、2005年の調査開始以来初めてという。
実際昨年ごろから瀋陽でも、街の至る所に積極的に日本旅行の広告が掲げられたり、
日系企業の広告が公共バスに印刷されたりと、対日感情が改善しているのが分かる。
もちろん対日感情が良ければ、中国で生活する私たちは過ごしやすい。
特に2004年頃から約10年程は反日感情が強く、身の危険から日本人ということを
隠したこともあった。そのため、この結果はもちろん嬉しいことだが、
数値だけを見て一喜一憂し、判断するというのは違うと思う。
そこで今日はこの報道を受け、私の考えを述べてみたい。
中国改革開放宣言から、21世紀高度経済成長初期のに入るまでは、
中国人の「日本崇拝」感情があったのは、正直否めない。
しかし2000年に入り日本経済の停滞、尖閣諸島問題、中国経済の成長等経験した今、
中国で「日本人」と言っても、「えぇ!? そうなんですか! スゴイ!!」という様な
過剰の反応もなく、ごくごく普通。「無反応」と言う方が8割ぐらいを占める。
(もちろん外国人が少ない地域に行く話でなく、上海や北京と言う都市での場合)
私の中では中国人の対日感情は、「ここ数十年ほぼ変化なし」だと思っている。
それでは、なにが変化したのだろうか?
なにが対日感情「良い印象」が4割を超えるきっかけになったのだろうか?
それは、ずばり中国を取り巻く環境と中国政府の方向性だと思っている。
メディアの取り上げ方も、影響を受けていることを忘れてはならない。
今回の米中貿易戦争で、風向きが大きく変わり始めた中国。
そのため日本との関係性を今まで以上に強くしたいがために、国をもって動き始めた。
ご存じの通り、中国は一党独裁制である。国=政府が一気に日本寄りに舵をきった。
そのため中国共産党中央委員会の機関紙、つまり政府の機関紙である人民日報や、
国営テレビ局CCTVで、一気に“日本びいき”のニュースが報じられるようになった。
結果、中国で対日感情において「良い印象」「日本を好き」と言ってもいい環境や、
条件、バックグラウンドが整い始めたということである。言い換えれば
「良い印象と言っても、面倒な事に巻き込まれない状況になった」と言うべきだろう。
以前は日本に良い印象を抱いていても、感情を表に出すことで弊害が生じた。
それは時に人間関係に、時に就職や出世に、至っては人格にさえもだ。
そんなリスクが高すぎる状況下では、誰だって「好き」とは表現できず、
右に倣えで「日本なんて嫌いだ」と言うことで、自らを、そして家族を守ってきた。
心底日本のことが嫌いであれば、なぜ中国人旅行者が年々増加しているのだろう?
代理購入、ネットショッピング 等で、なぜあれほど日本製品が溢れているのだろう?
トヨタや日産、マツダを始め日本車が街で多く見かけるのはなぜだろう?
今まで、特に20世紀の両国を取り巻く歴史を、私たちは決して忘れてはいけない。
しかしそれだけに縛られるのではなく、1対1の人間として付き合ってければと思う。
今回なぜ日本と中国のトップが、このような記事を発表したのか?
数字だけ、報道だけにとらわれていては本当の中国が見えない、そう思ってやまない。