マイカーの保有率が高くなるにつれて、車の渋滞はひどくなるばかり。
特に朝と夕方の通勤ラッシュ時ともなれば、“道路が駐車場”と化してしまう。
渋滞に巻き込まれると、何時に到着できるかも予想ができない。
その解決手段の一つが、地下鉄である。
上海は1~13号線、16号線、17号線、浦江線と発達しており、
地下鉄に乗れば、ほぼ行きたいところに辿りつける。
それに比べ瀋陽はまだ2号線まで。
しかし街の至る所に「沈阳地铁(=瀋陽地下鉄)」と書かれた囲みをよく見かけ、
町中急ピッチで建設、増設されている。
と言うことで本日は、未来の市民の足となるであろう地下鉄に注目してみたいと思う。
今回乗車駅に選んだのは、地下鉄1号線の「保工街」駅。
出入り口には案内板と、地下鉄マークがあり、ひと目で分かるようになっている。
ちなみにこちらは、A出入口。
改札口には階段で移動。バリアフリーのエレベータはA出入口には設置されていない。
地上からは、改札口までは2段階下がることになる。
掃除道具が道具室ではなく、片隅に置かれているのが中国らしい。
右写真、奥に小さく見えるのがのちほど紹介する、乗車券販売機だ。
乗車券販売機に到着するまでの案内版に、料金体系が記載されている。
見づらいので、拡大してみると
乗車駅を含まず8駅までは2元、9駅~12駅は3元、13駅以上は4元で
2号線に乗り換えた場合は、合計の駅数で計算されるようだ。
つまり当駅(保工街駅)から七号街駅までは2元、中央大街駅からは3元になる。
階段を降り切ると、広がる踊り場。
出口左側に密かに映っているのが「乘客服务中心(=乗客インフォメーション)」。
ここで問い合わせや「发票(=領収書)」の受け取り、
乗車券の購入や交通カードのへのチャージ(多くの人は自動販売機を利用)などの
サービスを受けることができる。
インフォメーションを反対側に振り向くと、そこに見えるのが
乗車券販売機(左)と、交通カード現金チャージ機(右)
普段は交通ICカード(関東:Suica、関西:ICOCA等)で、改札口を通り抜けるが、
せっかくなので、乗車券を販売機で買ってみた。
初めてのことで、戸惑った様子も確認でき、私一人の撮影のため全体像で
撮影できていないため見づらいが、どうか温かく見守っていただきたい。
・目的地を選択する(緑色なのが当駅)
・購入枚数を確認する
・目的地、枚数、値段を確認する
・お金を投入し、左下の確認ボタンを押す
・発券された乗車券と、お釣りを受け取る
中国がその昔「清」の国だった際、建国したのが満族であり、
その満族は瀋陽を拠点としていたため、この瀋陽にも故宮が建設された。
一言加えるならば、交通ICカードを利用しての乗車であれば、
5%の割引が適用される。
また交通ICカードは公共バスでも利用でき、さらに同じように5%割引適用である。
乗車券購入後、セキュリティーチェックに鞄を通す。
ペットボトルを持ち込むときは、セキュリティーチェックに通すか、その場で一口飲み
安全であることを確認する必要がある。
セキュリティーチェックを通過すると、改札口が見えてくる。
乗車券も、交通ICカードどちらも改札機でスキャンをして中へ
改札口を過ぎれば、朝のラッシュアワーであれば、無料の新聞を受け取れる。
新聞は机の上に並べられ、誰かが取ればサービス員が追加分を机に置く。
今日は改札を通り抜けた時間が少し遅かったせいもあり、
サービス員もピーク時を過ぎ、少し退屈モードで新聞を見ていた(笑)
新聞自体は1面がB4ぐらいの大きさで、内容は正直、大したことは書いていない。
しかし地元瀋陽のニュースを知れるとともに、地下鉄の待ち時間にはちょうど良い。
若者は携帯を見ていることが多いが、年配の方々はこの新聞を見ていることが多い。
「地下鉄は階段を降ってください」という案内に沿って、地下鉄乗車口へ
朝のラッシュ時には約5分おきに、地下鉄がホームに入ってくる。
留学したての2004年ごろは、列を作らずグチャっと乗車口に押しかけていたが
最近ではマナーも良くなり、きちんと列をなして待っている。
もちろんそれらを無視する人も中にはいるが、基本は快適である。
地下鉄の中には、電光掲示板で次の到着駅を示しており、初めての方にも分かりやすい
目的駅に到着し、エスカレータで改札口へ。
改札口では少し注意が必要だ。
交通ICカードの場合は改札口に入るときのように、スキャンをすればよいのだが、
乗車券の場合は、下記のように乗車券入札口に入れば、ゲートが開き、
乗車券が回収される。
以前は上海で生活していたこともあり、上海比べれば瀋陽の地下鉄は
お世辞にも「便利!」とは、まだまだ言えない状況ではある。
しかし先日9月6日に、地下鉄9号線23駅全線の連結が完了し、
現在最終調整中で、来年2019年には試運転が開始されることが発表された。
(なぜ「9号線」かは謎だが・・・)
以前にもブログで取り上げたが、「新一線都市」として急ピッチで
街の整備が行われている瀋陽。
これからこの街が、どんなふうに成長し、どんなふうに形を変えていくか、
その一部始終を一番近くで見られることが、子供の成長を見守るようで
ハラハラ、ドキドキ、ワクワク、とても楽しみである。
その一方で歴史的な原因も重なり、瀋陽には日本人街と言われる街並みがあり、
中国東北地方で最初にできた「瀋陽駅」も、日本人が建設したものである。
(ほぼ写真で構成されているHPなので、機会があればぜひご覧いただきたい)
東北地方はその昔「満州国」と日本人が名づけた時代もあり、こちらで生活するまでは
日本人であることを、絶対に隠しておいた方がいいのではと思っていた。
しかし意外なことに、義両親世代の方々は
「瀋陽が東北地方で一番整い、発展しているのは日本人が礎を作ったから」
「日本は素晴らしい」と言う声も、多く聞いたことがある。
(もちろんそれにうぬぼれることなく、歴史も日中両側から知る必要があると思う)
それらの場所も地下鉄建設のため、取り壊される場所も一部あり、
新しく、便宜を追及するために、歴史的建造物を一新するのではなく、
できる限り後世に残していって欲しいと思う。
なぜなら日本と中国は、その昔、そのまた昔から、ずっと関係が続いてきて、
瀋陽の街並みに、ふと、時を経た日本人街がひっそりと佇んでいるように、
人や形は変えつつも、これからもお互い、どこかで、相手の存在を認め合う。
そんな関係が続いていくことを、心から願っているから。