ちゃーちゃん@中国瀋陽

オンライン中国語講師|中国語ネイティブの発音と、より楽しく学べる方法を模索中|漫才や“脱口秀”など、面白い事(言葉遊び)が大好きな関西人

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情熱中国(2)【高田ともみさん・編集ライター、文筆家】

中国にゆかりのある「人と人」「人と情報」をつなげたいと、先月から新企画として

稼働し始めた「情熱中国」

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(※決してパクリなどはしておりません。もとが良いので敬意を表し、少々拝借しているだけです。)

 

第1回目は、国際結婚をされ上海在住のaxin@上海 (@axin_sh) | Twitterさん。

先日就職先から内定通知を受け取られ、これまでとはまた違う角度から中国を

ご紹介いただけるのではないかと、ワクワクしている。

これまでの『情熱中国』の記事はこちらをクリック

 


 

さて、本日第2回目のゲストはフリーランスライターである、高田ともみさん。

愛媛県出身。2005年、日本に留学中だった瀋陽市出身の夫と結婚。2012年瀋陽へ移住し、日中間のギャップに衝撃を受ける。以後、リアルで身近な中国を伝えたいと、ブログ、ZINE等を通じて発信。家庭内平和から始まる日中友好を実践中。新居浜市を拠点に活動する「ママと暮らしのデザイン社」代表

 

ともみさんと私の出会いは、ふとした偶然から始まる。

我が子が1歳の誕生日を迎えた頃、母親が私にしてくれたように、部屋中に絵本を置き

毎晩読み聞かせをしてあげたかった。

日本からも40冊ほど持って帰ってきたが、年齢と共に絵本の内容も成長していくため、

上海ポプラ絵本館(HPはこちらから)のような、気軽に絵本が読めるスペースが

瀋陽にも(きっとないだろうが、本当に)ないかを検索していた。

 

瀋陽 絵本 本屋」の検索でヒットした、こちらのブログ記事。

瀋陽人に嫁いだ日本人女性がいる!!!」と驚きと共に、ライターさんであるがゆえ、

想像力を掻き立てられ、引き込まれる文章に胸が躍り、ブログを一気に拝読した。

そして「この方とぜひお知り合いになりたい」と失礼なのは重々承知しながら、いきなり

メールでご連絡をとったところ、ご丁寧にご返信を頂戴したところからつながったご縁である。

 

普段はフリーランスライターとしてご活躍される傍ら、「ママと暮らしのデザイン社」の代表として

~ママと地域をつなぐ~をコンセプトに地域デザイン、イベント企画運営プロデュースを

遂行されるために、お忙しい毎日を過ごしておられる。

 

お会いすると、いつも体全体からパワーを感じとることができる。

しかしそのオーラは決して威圧的なものではなく、ご主人のために予備知識なしで

瀋陽という異国へ飛び込み、ひっきりなしに襲ってくる予想だにしなかった“日常”と

戦われた柔軟さ。

そして極寒の瀋陽に果敢に立ち向かい、子育てをし家庭を守る一方で、今まで日本で培った

“常識”と“自分らしさ”への疑問符を投げかけ、見つめ続けたことからくる、人への寛大さと

優しさである。

つまりパワーというより、それは陽だまりのような、温かさである。

それらの苦労と、周りに支えられながらも乗り越えた喜びを知るからこその、

人に対しても居心地の良い雰囲気を常に心がけ、ご提供くださる方である。

 

また昨年2018年に、『中国的「今を生きる」生活。』という書籍を発表された。

 謎だらけの中国が教えてくれた、いちばん大事なこと

 中国は、本当にすごい。外から見聞きする中国とはあまりにもかけ離れているくらい、あたたかくて、めちゃくちゃで、でも、あっけらかん。「日本ブランド」はすでに頼れる存在ではなく、よかれと思って示す「マナー」は無視される――

 中国人夫と結婚して中国に移り住んだ著者を、毎日のように襲う理解不能な出来事。そして生活の中に見えてきた「私とは一体何者なのか」という疑問の答えと、日本人の自分が背負っていたものとは。瀋陽で暮らした日々を綴った「わたしの中国雑記帳」。

中国的「今を生きる」生活。

中国的「今を生きる」生活。

 

 

何かと誤解や偏りが多い中国の情報。

ご自身の体験から見えた中国を、生き生きとした表現で語られているこの作品は、

少し前の中国をご存じの方には懐かしく、またこれから中国に関わっていこうと思われる方には

きっと貴重な手引書になるであろう。

 

それではその溢れる情熱を感じ取っていただくためにも、高田ともみさんへの

インタビューをぜひ、ご覧いただきたいと思う。

 


 

 この度はインタビューにご参加いただき、ありがとうございます。
 早速ですが、まず目覚ましい発展を遂げる中国ですが、2012~2014年の中国(瀋陽)と、現在の中国(瀋陽)。何が一番違うと思われますか?

 一番変化を感じるのは、環境意識の高まりですね。ゴミも少なくなりましたし、異様な匂いのする路地裏も、そこらで排泄する子どもも減りました。移住した当初は、ゴミはその辺へ投げとけばいい、と夫に教わりましたが(笑)。今はちょっとできないですよね。

 

 そうですよね。モデル都市にも選ばれたこともあり、ずいぶんキレイになりました。昔の独特なあの匂い(笑)も、ほとんどなくなりましたよね。
 そういう体験を書き綴られた『中国的「今を生きる」生活。』。
 この書籍をご出版されようと思われたきっかけはなんだったのでしょうか?またご出版されてのご感想を、お聞かせいただけないでしょうか?

 環境意識のこともそうですが、それまで日本人として大切に育んできた良心が、1秒で粉々に打ち砕かれるので、これはどういうことなんだろう?と。
 “道端にゴミを捨てるなんて!”といって批判するのは簡単ですよね。でも批判で終わってしまうと、街中に公務員である清掃員さんがたくさんいて綺麗にしてくれていたり、農村から出てきた人たちがペットボトルを拾って換金しているってところまでは見えてこない。日々の暮らしの中には、政治的な背景や文化が根付いているのに、中国のこととなると、そこがきちんと伝わらないまま誤解が広がっていくのはどうしてだろうと、これはものすごく感じました。だから特段中国好きでもなんでもなかった私が見て、触れて、感じたものを伝えることで、少しでも日中のギャップを埋めたいと思ったんです。
 出版してから、瀋陽つながりの知り合いが増えました。本を読んでわざわざ感想を送ってくださる方もいて、感激です。中国出張のフライトの中など移動中にさくっと読めるので、中国初心者の方にはぜひ読んでいただけたら嬉しいです!

 

 確かに表面だけで捉えていると見えてこない中国は、今なおたくさんありますよね。私も留学時代「ゴミを捨てることは就職口確保だ!」と言われ、ビックリしたことがありました。
 書籍の中で「家庭内平和からはじまる日中友好を実践中」というお言葉が印象に強く残りました。そこで家庭内において、具体的にどんなことをされていらっしゃいますか? またどんなことに気を付けていらっしゃいますか?

 日本で暮らしていた頃は、夫のやり方が全く理解できず、頭ごなしに批判して喧嘩になることが多かったですね。でも、中国で暮らしてからは私が間違っていたと反省しました。夫は夫で、中国的な良心のもと誠実に生きているということがわかりましたから。心がけているのは、わたしの正しさを押し付けないようにすること。夫がやろうとしていることが、私の正しさからかけ離れていても、わたしから見えないところでやってくれるなら、なかったことにしています(笑)

 

 新婚当時、もしかしたら今でも我が家もよくあります。「えぇー⁉ なぜ???」と(笑)
 でも、主人は主人の価値観で、少しでも良くなるようにと行動してくれていたことが、ずいぶん後になって理解できたこともたくさんあります。先日もあの時のこれか!なんて思ったところです。
 ところで現在ご主人が瀋陽に単身赴任中ですが、このご決断はご夫婦それぞれのキャリアや、お子様の教育などが要因でしょうか?

 中国では娘には近所のローカル幼稚園に通ってもらったのですが、そろそろ小学校、というタイミングで、彼女の日本語の読み書きが非常に微妙なことになっていました。家では日本語で話すのですが、中国語の吸収率に追いつかない。これは一度、娘の日本語教育のために帰国してみようかと思ったのが最大の理由ですね。私自身は、子どものことがなかったら、そのまま居続けていただろうと思います。

 

 言葉を大切にされていらっしゃる、ともみさんらしいご決断だと思いました。やはり言葉は人間形成とも深くかかわりますから、環境も含めて考えてあげたいですよね。
 先程「子供」と「言葉」というキーワードが出てきましたが、『こども表現の教室』もこういう考えから生まれたのかも知れないと思いました。
 ではこの『こども表現の教室』は具体的にはどんな活動なのでしょうか? またイベントを通して子供たちに伝えたいことはどんなことでしょうか? 近々イベントがあればご一緒にお案内いただけますでしょうか? 

 『こども表現の教室』は帰国した当初、私にもできることをと思って始めた小さな作文教室です。ライター経験を地域の子どもたちにも還元したいと思って始めました。ゲーム感覚で楽しみながら書ける作文や、夏休みの読書感想文講座などを主催しています。書いて自分を表現する楽しさを味わってもらいたいなと思って、不定期ですが続けています。

 

 子供にとって作文となると一気にハードルが高くなる子もいますよね。でも、少し手ほどきを受け「自分を表現する楽しさ」や伝わる喜びを知れば、書くことが苦痛から快楽に変わり、また自分を表現できることにより、自己肯定に結びつくのではと思います。そんな子供が増えるといいですね。
 さらには『ママと暮らしのデザイン社』の代表としてもご活躍されていらっしゃいますが、こちらについてもご紹介いただけますでしょうか?

 こちらは、現在暮らしている愛媛県新居浜市で、いろんなスキルを持っている子育て世代の女性たちに出会ったことをきっかけに作った、市民グループです。私もふくめ、彼女たちがもっと面白がって地域に関わっていける機会がもっとあれば、過疎の進む地元ももうちょっと面白くなるんじゃないかと思い、結成しました。思いのほか、地域の方にも面白がってもらえて、2018年は、市の事業やイベントの企画運営で走りっぱなしでした。

 

 地域と関わる機会。確かに子育て中のママは孤立してしまいがちですので、こういう活動を通し「誰かと関わる事」「誰かに自分を認めてもらうこと」って、ものすごく大切な事に思います。活動報告のブログ記事を拝見しても、ママさんたちの生き生きとした姿を拝見でき、こちらもパワーをいただけます。
 『こども表現の教室』『ママと暮らしのデザイン社』とたくさんの活動をされていらっしゃいますが、発信されるメッセージからいつも、何かと何かを結び付けられるような活動もされたいという熱意が伝わってきます。そこで将来どんな「掛け橋」を築かれたいと考えていらっしゃいますか?

 ふたつの事業で私自身が学んだことは、「場」のもつ力ですね。場があれば、新しい出会い、新しいアイディア、新しい仲間と出会って新しいことが始められるかもしれない。その可能性の大きさに圧倒されました。中国と日本をつなぐみたいな、大きなことは考えていませんが、私がもし瀋陽でまた暮らすことになったら、きっと場づくりをすると思います。気負わず通えて、騒がしい瀋陽暮らしの休憩場所になるような、あるいは日中の文化交流、情報交換ができるような場所。すべては人ですから。自分も楽しめて、人の役に立てる場づくりが、できればいいなと思っています。まだ夢物語ですけれど・・・ 

 

 「オアシス」のような場所。確かに瀋陽はいろんな意味で騒がしく、ふと立ち寄りたくなる、また行きたくなるような休憩場所や日中文化交流の場所があればいいなと思います。そのプロジェクトを稼働させるときはぜひ、私も参加させていただきたいと思います。
 それでは大変名残惜しくはありますが、最後に一言お願いできますでしょうか?

 中国がくれた大切なご縁で、こんなふうにご紹介いただく機会に預かれて、ほんとうに光栄です。何かの参考になればいいのですが!
 ちゃーちゃんさん、読んでくださった皆様、ありがとうございます。

 こちらこそ、ありがとうございました。これからもともみさんから見えた中国を、発信していただきたいと思います。また同じ瀋陽に嫁いだ日本人妻として(笑)、なにより中国の同志として、どうぞよろしくお願いします。

 


 

インタビューを通し、改めてともみさんのお人柄に触れさせていただいたような気がした。

それは『こども表現の教室』の連絡先をお伺いした際、「携帯番号もFacebook

載せちゃっていますので、どうぞ!」とのこと。

「携帯番号、えぇ⁉ いいんですか?」とお伺いする間も入れず、番号をご教示いただけた。

これはご自身の活動に対する責任感、そしてご自身が心から楽しみ、良いものを届けたいという

気持ちの表れだと思ってならなかった。

 

これからも人を巻き込んでいくこのパワーで、きっと多くの人にたくさんの笑顔と元気を

与えてくださる、そんなともみさんだろう。

書籍の第二弾の出版を心待ちにしながら、今回の情熱大陸のインタビューを終了したいと思う。

 

連絡先

◆『こども表現の教室』 

  ・Facebookこどもの表現教室

  ・携帯番号 080 3024 8152(※海外からは+81 80 3024 8152)

 

◆『ママと暮らしのデザイン社』

  ・https://momldesign.localinfo.jp/

 


 

これまでの『情熱中国』の記事はこちらをクリック

 今後も中国(あるいは中国関連)で奮闘される方を取材、あるいはインタビューをし、「人と人」「人と情報」をつなげたいという理念のもと、有益な情報を皆さんにも共有していただけるような、そんな企画になればと思っております。

 ある日突然、インタビュー依頼のご連絡が届いた方には、ぜひ今お持ちの専門性、独自性、影響力等の非常に価値のある情報やご経験、熱い思いを、存分にお伝えいただければと存じます。また逆に中国、あるいは中国語で「こんなことを知ってほしい、こんなことを伝えたい」という情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひご一報いただければ、取材やインタビューをさせていただきたいと思います。

 これからもこの企画をはじめ、ブログをご愛読いただければ幸いです。