中国にゆかりのある「人と人」「人と情報」をつなげたいという熱い思いから
始まった企画。その名も「情熱中国」。
(※決してパクリなどはしておりません。もとが良いので敬意を表し、少々拝借しているだけです。)
第10回目のゲストは、トリリンガルヨガインストラクターのMonさん。
はじめまして、Wen(日本語のニックネームはMon)です!
インド中央政府公認ヨガ講師認定証、全米ヨガアライアンスRYT200認定証保有のヨガインストラクターです。
私は日本育ちの中国人で、結婚を機にシンガポールに移住してきました。異なる文化のマインドセットを持ち合わせ、日英中の3 カ国語が話せますので、参加者のニーズによって多言語対応致します。ヨガセッションの後は、参加者の皆様同士が異文化交流を通して仲良くなって頂けたらと思います。この美しいシンガポールで、皆さんと気持ちのよいヨガのひと時を一緒に過ごせることを楽しみにしています。
情熱中国(10-1)【Monさん・トリリンガルヨガインストラクター】
情熱中国(10-2)【Monさん・トリリンガルヨガインストラクター】
第3回は、ヨガの「アーサナ(=ポーズ)」などについても教えていただいた。
それでは引き続きMonさんのヨガへの愛を、感じていただきたい。
日本社会は、協調性が重視されますからね。
そうですね。ただ今から思えば、そういう経験も大切だったと思います。そのようなお付き合いから学んだものも、本当にたくさんありますから。それはそれで必要だったと今は思っています。
20代で大人への螺旋階段を1周したからこそ、ご自身にとって必要なもの、そうでないものがはっきりしたのかもしれませんね。
そうですね。
ヨガの練習者の中にはビーガンやベジタリアンの方が多いんですが、正直ビーガンフードはお値段が結構しますし、その当時の私には彼らの行動が、お金持ちの豪華なライフスタイルみたいに感じるところがありました。しかしヨガスクールのインド人の先生から、「ヨガを通して周りとのつながりを学び見つめなおすことで、考え方も変わってくること」を学び、少しずつ腑に落ちてきました。つまり自分のできる範囲で、努力をし、意識を変えていくことができるようになってきました。
私たちが生鮮食品をいただくということは、殺生の上に成り立っています。そのため大豆製品などでも、命をつなぐことができるならば、その選択をしようというのがヨガの教えでもありますか?
まさにそうですね。
実は私、幼いころに2階から落ちた経験がありまして、怪我で体が非常に硬いのですが、そんな私でもヨガはできますか?
大丈夫ですよ。本当に万人にヨガの扉は開かれていますし、だからこそ今いらないところに入っている力などを抜いていくことで、改善されることがあると思います。また体幹などもしっかりしてきますし、体も締まってきます。
今のMonさんは健康美でいらっしゃいますが、アメリカ留学時代は、若さ独特の体型もありますが、少しふっくらされていらっしゃるようにお見受けしました。
そうなんですよ。アメリカに行って実は8キロ体重が増え、母親もショックを受けていました。その時の体型がずっと残っていたんです。
実は私結構体重は変動する方です。チョコレートをたくさん摂取してしまい、太ってしまうこともありました。実はヨガのインストラクターを始め1年経過した頃、ずっとレッスンに来てくださっている生徒さんにレッスンの感想をお伺いしたのですが、多くの方が「先生細くなりましたね。身体つきが全然違います」と言われた程です。(笑)
理想的なボディーだと思います。
ありがとうございます。そんな風におっしゃっていただけたら、嬉しくなってまた甘いものをたくさん食べちゃうかもしれません(笑)
甘いものがお好きで、ご褒美なのですね。
ところで、「アーサナ」というのはなんでしょうか?何か自分だけの独自のポーズという意味ですか?
「アーサナ」とはヨガのポーズのことを指します。例えば木のポーズ、橋のポーズなどいろいろありますが、その“ポーズ”のことをサンスクリット語で「アーサナ」と言います。すべてのポーズの最後に「アーサナ」と付いており、例えば三角のポーズであれば、サンスクリット語で「トリコアーサナ」と言います。
レッスンでは皆さんと一緒にいくつかのポーズを実践していきますが、その日のテーマに合わせて、実践するポーズは違ってきます。
それは今日のテーマというような、ポーズそれぞれにカテゴリーがあるのですか?
ポーズ毎に、期待できる効果があります。例えば「鷲のポーズ」であれば肩甲骨を開き、肩を刺激するため、肩こりの改善につながります。ヨガのレッスンは基本的に、体全体を満遍なくほぐしていくため、バランスよくポーズを取り入れていきます。
そのためその日その日で、「骨盤を調整しましょう」「肩をほぐしていきましょう」「ツイストをしてたくさん消化器官を刺激して、デトックスしましょう」というように、テーマに合わせたポーズを選んでいきます。
継続することで、気づくことがありますか?
練習を重ねていくと、ポージングからいつもとねじれる角度が違うな、などと気づくようになります。結果、ねじれが甘い理由はちょっとお腹が出ているからだ、という変化を感じられるようになります。
例えばバランスポーズも、今日は集中ができて全然揺れないけれど、違う日だとすごく揺れてしまったりします。その時に内省をすれば、悩みごとがあって気持ちが落ち着かなかったり、何かのストレスでソワソワして安定しなかったりなど、微細な身体とマインドの変化が分かります。
ポーズは全部で何種類ぐらいあるのですか?
「人の数ほどある」と言われる方もいるそうで、「唯一絶対」の数というのはないようです。
1回のレッスンでは、いくつぐらいのポーズを実践するのでしょうか?
10~20種類ぐらいですね。
ブログでお一人が四つん這いで、もうお一人が後ろ足を先ほどの方の背中に乗せて四つん這いになるポーズがあったのですが、そちらはどこに効くのですか?
あのポーズは「ダウンドッグ(下向きの犬のポーズ、中国語では下犬式)」と言って、本当にいろいろな部分に効果が期待できるポーズです。
拝見してすぐに「大変そう」と思ってしまいました。Monさんだから、あんなにきれいにできると思います。
あれはヨガのレッスンでいつも出てくるポーズです。はじめは肩回りが柔軟でないと、腕を伸ばしても手首から腰まで一直線に伸びにくいです。そのため慣れるまで少し時間がかかり、ほとんどの方が痛みを感じます。また足もふくらはぎが張り、足の裏も地面につかないため、ポーズが安定するまでは少し難しいかもしれません。しかし、このポーズを続けていくと、ふくらはぎや、腰や背中のあたりもしっかり伸び、お腹もぐっと引きしまります。頭も下を向いているため、頭の血行もよくなります。きれいな形ができれば、体全体を気持ちよくほぐし、リラックスいただけます。また体幹を強くしていくこともできます。
やはり体にいいことは、難易度がありそうですね。
そうですね(笑)でも、続けているとできるようになります。
私の上に乗っていた男の子は、ちょうど半年前から私のレッスンに来てくれました。
インタビューに答えてくれた方ですよね?
そうです。彼も始めはダウンドッグに取り組むとき、上半身がうまく伸びずできなかったのですが、だんだんと柔軟性と体幹がついて上半身が伸びてくるようになり、今では気持ちよくポージングできるようになりました。
体がだんだん慣れ、またヨガ哲学を理解することで、力を抜くべきところは抜き、力を入れるべきところは入れ、としているとだんだん気持ちよくなってくるのですね。
ヨガの伝統的な経典に書かれている定義の一つに、「ヨガは安定して、心地よく、快適にいる状態だ」と記されています。それが理解できるまで、時間をかけて練習していく必要があります。私も最初、痛みや不可能と思っていたのですが、呼吸法とともに、少しずつ体が伸び、ポーズができるようになっていると、変化を感じられるようになってきました。
そう感じられたのはいつ頃ですか?
気持ちいいと思い始めたのは、シンガポールに来た頃ぐらいからだと思います。
ふと、ヨガも語学学習みたいだと思いました。例えばリスニングやスピーキングと言ったように、それぞれの能力ができるだけきれいな円になるように伸ばしていくと、順調に実力が付いていきます。しかしどれか一つでも極端に落ち込んでいると、なかなか厳しい現実が待っていると思います。ヨガにおいても、ポーズも哲学も理解をし、さらには体の仕組みも理解していくと、少しずつうまくできるようになり、気持ちよさも感じられるようになるのかなと思いました。
そうだと思います。
ちょうどヨガという円が全体的に膨らんでいった時が、ちょうどシンガポールに移住されたぐらいなのですね。もちろんその円の項目の1つに、「私シンガポールが好きだな」と心の開放があったことも、大きな理由だと感じました。
おっしゃる通りです。主人を通して見えるシンガポールも、やはりとても大切な場所だと思います。
本当に素敵ですね。
シンガポールという場所もそうですが、Monさんにとって音楽も、キーポイントとなっている気がします。Facebook投稿されていらっしゃる歌声は、本当に心地の良いものでした。
そこでMonさんと音楽についてもお伺いしたいのですが、ヨガインストラクターの卒業試験にプレゼンがあり、そのテーマを「ヨガ×音楽」に選ばれたのはなぜですか?
先生からテーマは「〇〇×ヨガ」であれば、どんなことでも良いとのことでした。もともと幼いことから歌うことが好きで、落ち込んだ時は好きな曲を30分ほど歌えば元気になります。
また『マントラ』というお祈りの短い歌を、ヨガの始まりと終わりに唱えるのですが、そのマントラの音自体にも癒しの効果があることを学びました。そして鐘で作ったお椀で「チーン」と音がする『シンギングボウル』というものがあります。それはレッスンの最後に鳴らし、その音の余韻を感じます。体で音の響きを、波動としてとらえることの新鮮さ、またそれに趣を感じたことで、テーマにすることにしました。音にはそれほどまでに癒しの効果があるのだと、調べるほど確信していきました。
ふと思ったのですが、Monさんにとって言語も「音」としての要素があるような気がしました。
音、ですか…。考えたことがなかったですね。
中国語の発音はお母様に叩きこまれたとおっしゃっていましたし、英語の発音に関してもご自身で、今でもたゆまぬ努力を積み重ねられていらっしゃいます。つまり“音”としての発音を、ご自身という“楽器”を使って、いつも奏でていらっしゃるように思いました。
詩的ですね、ちゃーちゃんさん。
確かにリスニングは得意です。例えば英語を聞いて、その音をとっさにつかみ、発音することはかなり好きです。誰かが発した言葉をすぐに真似し、口に出せるタイプだと思います。
すぐに模倣できるよう、シャドーイングやディクテーションなど、大変な努力をなさっていらっしゃいますよね。Monさんのブログで始めて拝見したのは『トリリンガルの私の生い立ち ~英語編~』という記事でした。こんなにストイックに語学学習に取り組まれていらっしゃるお話を、ご紹介できればいいなと思いました。
ありがとうございます。ブログの記事をご覧になって、何かを感じていただけたのは大変編励みになりますし、私ももっとがんばっていこうという気持ちになりました。
話がまた戻りますが、先ほどの音楽つながりで、今もバンドはされていらっしゃるのですか?
今はやってはいませんが、大学時代に「歌う会みみんこ」というサークルに参加していました。そのサークルは、合唱、民謡、和太鼓などにも取り組み、毎年この3種類のコンサートを開催するような活動をしていました。
やはりそこにも「音」がありますね。
そうですね、やはり「音」がありますね。
アメリカでも和太鼓のサークルに参加されたとブログで拝見しました。和太鼓は究極の「音」の世界で叩き方や皮の張り方、あるいはホールの大きさやその日の天気で、音色が微妙に変わります。それらを考えると、Monさんは「音」に関して、本当に敏感な方のように思えます。
確かにですね。あとアメリカで言えば、ゴスペルサークルにも参加していました。参加者が練習中に感情が高ぶり、突然泣き出したりもするんです。最初はびっくりしましたが、彼らがこんなにも気持ちよく、力強く、心から表現できるのは、神様をすごく信じているからなのだと学びました。
貴重な学びですね。
(第4部につづく)
情熱中国(10-1)【Monさん・トリリンガルヨガインストラクター】
情熱中国(10-2)【Monさん・トリリンガルヨガインストラクター】
情熱中国(10-4)【Monさん・トリリンガルヨガインストラクター】
今後も中国(あるいは中国関連)で奮闘される方を取材、あるいはインタビューをし、「人と人」「人と情報」をつなげたいという理念のもと、有益な情報を皆さんにも共有していただけるような、そんな企画になればと思っております。
ある日突然、インタビュー依頼のご連絡が届いた方には、ぜひ今お持ちの専門性、独自性、影響力等の非常に価値のある情報やご経験、熱い思いを、存分にお伝えいただければと存じます。また逆に中国、あるいは中国語で「こんなことを知ってほしい、こんなことを伝えたい」という情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひご一報いただければ、取材やインタビューをさせていただきたいと思います。
これからもこの企画をはじめ、ブログをご愛読いただければ幸いです。