ちゃーちゃん@中国瀋陽

オンライン中国語講師|中国語ネイティブの発音と、より楽しく学べる方法を模索中|漫才や“脱口秀”など、面白い事(言葉遊び)が大好きな関西人

◆スポンサーリンク◆


「打是亲骂是爱(=叩くのは可愛いから、叱るのは愛があるから)」 ~中国の幼児の躾を考える~

最近私のブログによく登場するミンミン。我が子より10か月幼い従兄妹である。

ミンミンの代名詞は、まさに「ワンパク」。

この国慶節の連休で北京から遊びに来ているのだが、正直毎日手を焼いている。

 

「打是亲骂是爱(=叩くのは可愛いから、叱るのは愛があるから)」というのが

中国の伝統的な教育方法であり、この数日間それを実感するようなことが続いている。

また「再不听话,就打你屁股了(=これ以上言う事聞かないなら、お尻叩くよ!)」

f:id:chachan-china:20181006075113j:plain

それ以外にも、さらにより多く耳に届く「否定形」のフレーズ。

  • ダメ!
  • ~してはいけない!
  • 〇〇するような子は嫌い!
  • そんなことをするなら、あんたのことなんかいらない!

 

他にも中国の躾方法の一つと言ってしまえばそれまでなのだが、

悪いことをすると義両親がミンミンに対し、「『大娘(=ここでは私のこと)』は

そんなことするミンミンを大嫌いだ!」と言うのを聞き、全く思っていないことを、

勝手に言われるのは辛いことを伝え、今後は言わないで欲しいとお願いした。

 

私としては、それを言われた後のミンミンを、ただただ抱きしめ

「そんなこと思ってないよ、大丈夫だよ」と言ってあげる事しかできなかった。

 


 

ミンミンは「両親が稼ぎ、祖父母が子守り(孫守りと言うべきか)をする」という、

現在の中国社会の典型的な“子育て体制”で、毎日を過ごしている。

そのため普段忙しい両親に代わり子育ての軸である祖父母は、やはりミンミンに甘い。

 

もちろん祖父母に育てられるメリットも、論文などでもたくさん発表されているのは

知っているし、参考にといくつも目を通してきた。

しかしこれらは三世代同居などで、あくまでも親が基軸となってという話である。

 

さらに一番の問題は、休日は両親、その他の日は両家の祖父母が交代で子育てをする。

そのためダブルスタンダードならぬ、トリプルスタンダードが多く存在し、

ミンミン自身が戸惑っているように思える場面も、何度か遭遇した。

また子供の教育方法は、あくまでも「上⇒下」というスタンスのため、威圧的。

一方的でコミュニケーションというより、「服従」という言葉がしっくりくる。 

 

そういう私も、両親からは厳しく躾けられ、一方的な服従式、威圧式で育てられた。

時には「もうあんたのことなんか、知らない」と何度も言われきたため、

「上⇒下」というスタンスが当たり前で、躾けとはそういうものだと思っていたが、

20歳を過ぎた頃、たまたま親戚の家を訪問時、ある出来事に遭遇した事が転機となる。

 

A君5歳、3人兄弟の長男、活発で利発的だが、とにかく落ち着きがなく“ワンパク”。

 

椅子を倒し、物を投げ、ワガママ放題。間違いなく私が知るNo,1の悪がきだった。

部屋の中は泥棒が入ったかのような、見るも哀れな状態。誰もがお手上げ状態。

腕白度も最高潮に達したとき、帰宅し様子を伺っていたママがゆっくりと動いた。

「A、ママちょっとお話しがあるんだけれど」と手招きをし呼び寄せ、しっかりと

抱きしめた。

 

その後子供の目を見て、決して脅すでもなく、声を荒げるでもなく、いたって

平常心で、ゆっくりと子供のレベルに合わせ、諭すように一言一言子供に確認する

ように話しかけ、コミュニケーションをとった。

 

それまで、あれほどまでの暴れ具合が嘘のように、ママの話をしっかり聞き、

自分でおもちゃ、散らかした椅子を片付け始めた。

まさに「目から鱗」だった。

 


 

その経験を踏まえ、主人と子供の出生前から話し合い、決めた我が家の教育方針は、

下記の2点以外は子供自身が納得するまで、見守るスタンスである。

 

  1. 生命の危機、今後生活に困難が及ぶ可能性がある怪我に至ること
  2. 人に迷惑をかける、人の尊厳を侵す、人を傷つける 

 

もちろん、「見守る=隣で見ている」という話ではない。

子供だからと一方的に上から押さえつけるのではなく、怒鳴りつけるのではなく、

我が子にきちんとダメな理由を説明し、しないように話し合いをし、

お互いが納得する着地点を一緒に模索する。

 

時にイライラし、怒鳴ってしまいそうになるときもあるが、「試されている」と、

一呼吸置くように心がけている。(それでもうまくいかないことはあるが・・・)

 


 

ママ歴が片手の指でも余ってしまう私が、子育て、躾について語るのは、

時期尚早は覚悟、おこがましいのは承知の上で、ミンミンが些細な事で

一方的に叱られている姿を見て、疑問符が消えずにいる。

中国の今の子育てが「少し偏っている」ように思えるのは、私だけではないはずと

思う、この国慶節長期休暇である。