先日、高らかに宣言した「VIVA 中国PTA!」
ついにやってきた、2つ目の活動! その名も…
「『教師の日』に先生に何を渡すの? っていうかクラスで個人で? どうする!?」会議
日本人にはなじみは浅いが、9月10日は「教师节(=教師の日)」。
教師への日頃の感謝を伝え、教師をねぎらう日である。
国によっては祝日のところもあるようだが、中国は記念日で休日にはならない。
北京留学中は担任の先生を食事に誘い、クラスみんなで感謝の意を示したりした。
中国の学生は手紙を書いたりもあるようだが、多くは花束をプレゼントする。
そのため10日は、至る所で花束を抱えて準備する保護者の姿があった。
我が子のこども園も例に違わず。
「先生に何か送るのか? 送るなら個人でするのか、クラスとしてするのか?」
これらの話し合いが、 先週水曜日の5日からWechatで繰り広げられた。
まずWechatのグループチャットには、先日父兄会に参加した保護者7名が参加。
この場を仕切ってくれたのは、年中の長男君と、我が子のクラスメイト次男君のママ。
髪が金髪でスタイル抜群、ベンツを乗り回すフランキー「おしゃれママ」さん。
外国人の私にも、分け隔てなく接してくれる頼りになるグループ長。最年少。
現在長男が年中で、その経験から言うと先生方は金銭は受け取らないので、先生に感謝の意を伝えたい方は花や锦旗(=垂れ幕の一種、感謝や敬意を表すために贈る)を贈るのをお勧めしますよ。
もしクラスみんなで大きな飾り花を贈るなら、このグループチャットで話し合おうよ。もちろんご自身でというなら、それもでOK。
このグループチャットを作ったのは、何かあればみんなで相談できればだし、みなさんの意見聞かせて~。
それにすぐに反応したのが、かつて北京で先生をされていた「しっかりママ」さん。
いつも落ち着いていて、私のことを見守りいつも手助けしてくれる、優しいご意見番。
一番仲良しの、私と同じくアラフォーママ。
以前、教師の経験者として、金銭やほかのプレゼントより花を受け取るほうがより嬉しかったですし、より尊重してくれていると感じました。
なので、大きな置き花がいいと思います。
各ママたちの「賛成!」の声が届き、我が子のクラスは置き花を送ることに。その後、
それなら7日の金曜日にして、みんなで買い終わった後、子供たちを迎えにいくのはいかがですか?
発言に賛同する声が多く、「7日午後」という超曖昧な時間設定と場所未定のまま、
その日の連絡は終了。
中国では「何時ごろ?」と尋ねても「吃午饭后吧(=ランチ食べた後)」や
「看看吧(=様子を見ながら)」、極めつけは「待会儿打电话(=後で電話する)」と
結局尋ねてみても、何の返答にもならず、また進展もなかったと思う程、
なかなか予定が決まらないことがよくある。
留学前の職場は時間に特に厳しく、1秒単位で管理された。
それゆえ、留学当初は非常に戸惑い、時間が決まっていないことに、不安になった。
今でこそ、この超曖昧な時間設定にも慣れ、イライラすることもなく、
「まぁ、そのうち連絡が来るだろう。とりあえず7日午後は空けておくか」と思える程
中国生活も長く、受け入れられるようになった。
「郷に入れば郷に従え」の精神だろうか。
「連絡は来ないだろうな」と思いながら、どこかで7日の詳細連絡を期待している私。
しかし、時は一刻一刻と…。
やっぱり! Wechatの着信音が鳴ることはなかった。
進めているプロジェクトの打ち合わせが午前にあり、朝には今日の予定を確定したい私
朝7時になるのを待ち、こども園へ送り届ける支度をしながら、
気持ち的に少ししびれが切れたこともあり、グループチャットで尋ねてみた。
おはようございます。今日の午後、何時頃どこでお会いしましょうか?
中山公園の近くのですか?
そんなやり取りをしているところに、「私今日、予定があるので行けません!」
というママさんも出てきた。
やはりこの当日ドタキャンママがいるのは、「世界共通だな」などと思う。
ちゃーちゃん、そうそう。じゃあ、とりあえず2時ごろってのはどう?
幸い、打ち合わせ場所からは歩ける距離だったので、午前の会議を終えランチをとれば
ちょうどいい時間だなと思い、承諾した。
その後こども園まで送り届け、いそいそと打ち合わせ会場へ。
約2時間半、鞄の中でマナーモードにしていた携帯電話。
会議終了後、目に飛び込んできた画面は?
Wechat 未読163件
ここでも先日の記事「热闹(ワイワイ、ガヤガヤ、にぎやかに騒ぐこと)」が再現。
「中国の方」と、決して一括りにはする勇気はないが、少なくとも「瀋陽人」は
この热闹がとっても好きなのでは、と思いながらWechatを開く。
・買い付けは全員参加は無理、花屋さんとネット上でやり取りし決済する
・花は花束にするか、玄関に置く置き花にするか。またいくつ用意するか?
・大きさはどうするか? 追加料金を払ってでも大きいのが良いか?
・そもそもクラスの保護者何人が、これに賛同するのか?
・見積もり金額はいくらに設定し、金銭はどうやって徴収するか?
この5点について、各ママが“热闹”にやり取り。
決まりかけたと思ったら、話をぶり返すママもいて、ここでも世界の共通点を知る。
さらに我が子と一番仲のいいクラスメイトのママ、その名も「チャキチャキママ」。
背が高く、ショートカット。色つきメガネをかけた、完璧主義の弁士、女社長。
でも根はとっても優しく、同じくアラフォーの、一番初めのママ友さん。
とにかく大きければ大きいほど、GOOD!
チャキチャキママのこの一言に、他のママも「賛成!」「同意!」との返信が続き、
メンツの国、中国だなとふと感じる。
さらにグループチャットに呼ばれた花屋さんは、このチャキチャキママの友人らしく、
「知り合いを頼り、問題を解決していくこと」や「仲間はきちんと恩恵があること」
「生花のような手作りの商品は完成品とは違い、出来上がりにムラができるため、
信頼できる人に依頼する(融通がきき、失敗がないようコントロールできる)」という
中国社会の「暗黙の了解」を、ここでも垣間見ることができる。
花屋さんがサンプル写真をグループチャットに数十枚送り、伺いを立てるも
「おしゃれママ」のきつ~い一言。
さらには「こんな感じが良い」と、ネット上からイメージ画像を探しだし送信。
「やはり嫌なものは嫌と、はっきりしているな。でもクレームされるより楽かも」と
中国の方の交渉術を、学べるチャンスと思い嬉しくなる。
ちなみに、ここまでのやり取りが未読163件。
すいません、会議が終わって携帯を開いて、やっと今追いつきました。
すると次々と「待ってたよ」「お疲れ様~」「分からないことない?」
というメッセージが届き、非常にありがたく、心強い!
値切り交渉も「おしゃれママ」「しっかりママ」「チャキチャキママ」が束になり
みるみるうちに値段が下がっていく。
論語の中で、孔子曰く「三人行必有我师焉(=三人行えば必ず我が師あり)」だが、
いえいえ、私にとっては3人ともが師である。
さらに驚くべきことに、置き花なのでてっきり「対、つまり2つ」だと思っていると
どうやら、簡単には終わらせてはくれないようだ。
他のママたちの反応をうかがっていると「ナイスアイディア!」「いいね!」の声が
一斉に返信され「そういうことを思うのか」と、さらに深く中国人の心理を
知ったような思いがした。
現時点で、置き花5つで1800元(=約34000円)。
ちょっと高めかな、と思いつつ話しの展開を見守っていると、
さっきからグループに誘っているんだけど、押し売りと思われたのか、加入拒否されちゃって。悪いけどほかのママさんからも、誘ってみて!
どうやら承認されたようなので、お呼びしますね。
このお三方、最強!!!
誘ってもらえなかったという不満も出さず、なおかつ賛同人数が多ければ
一人あたりの支払い金額は抑えられる。
その後、無事クラス全員11名の保護者をグループチャットに呼び込み、最後の確認 。
保護者各位、教師の日が近づいてまいりました。こども園の規定により(先生方は)プレゼントは受け取られないため、クラスみんなで置き花(大きい物は1階のロビーに、小さい物は教室に)を、当日先生方に贈りたいと思います。なおこのイベントは自主参加で、強制ではございません。費用は一人当たり100~200元の予定です。ご参加ご希望の方は、下記にご署名をお願いします。人数把握のため、ご協力をお願いします。
1.皮皮ママ
数字の後ろに名前を書くことで、人数把握と共に、後々何かトラブルになった際の
証拠として書き残すようである。
最終的に10名の保護者がサインをし、
「おしゃれママ」がまとめて、お花屋さんに先払いしてくれることに 。
保護者間の金銭授受も、もちろんWechatの振込機能を使用。ボタンを押し5秒で完了。
本当に、Wechatなしでは中国社会では何もできない。
1.皮皮ママ 2.小艾ママ 3.陳××ママ 振込済み
このように振り込んだ人から、きちんと名前が記載され、トラブル防止をする。
日本人同士の「なあなあ感」も、悪い意味での“ご配慮”もなく、みんな平等の扱い。
支払い済みは支払い済み、未払いは未払い。きっちりしているのが清々しい。
この日だけで、サンプルの写真も含み、グループチャットのやり取りが
なんと500件越え。出勤前、携帯電話の充電が100%だったのが、
支払いまで終えたところで24%まで減少。
「热闹」の恐ろしさを、ここでも知ることに(笑)
我が子をいつものように、こども園に送っていると、Wechatの着信音が耳に入る。
「おしゃれママ」が朝一にこども園に行き、花屋さんの納品を見届けてくれたようだ
そして届いたお花は、こちら。
実物はもっと素敵だった。
その後先生方をおよびし、我が子を抱っこして、みんなで記念撮影。
私は心底この時間を楽しんだ。
今回の件で、9月入園のママたちとも交流でき、大変嬉しく思ったのはもちろん、
「おしゃれママ」「しっかりママ」「チャキチャキママ」と以前に増して
交流できたのが、非常に楽しく、感謝の気持ちでいっぱいである。
この記事には書かれていないが、個人的にもいろいろ話をさせてもらい、
人隣りをさらに知れたとともに、外国人の私を分け隔たりなく受け入れてくれたことに
敬意を示したい。
また午後に、子供たちを花の前で記念撮影しWechatのグループチャットに
先生が配信してくれ、保護者全員がグループ内で写真を見ながら、先生方に感謝を述べ
ほっこりとした時間を過ごした。
我が子と同じ年齢は3クラスあり、他のクラスは個人で先生方に花束を渡していた。
そのため先生方も子供を見る傍ら、保護者に電話で呼び出され、
出入口まで受け取りに行かなくてはならない場面も多く見かけ、入園後日が浅く、
泣きじゃくる子供をあやしながら、何とか受け取りに行こうとしている姿に、
本来は先生に感謝を伝えるはずが、余計に負担をかけている様に見受けられた。
またどの子の花が大きい、綺麗と競争している声も、年長クラスからは聞こえてきた。
我が子のクラスは「おしゃれママ」団長のお蔭で、 そのような見栄の張り合いも、
先生方に花を受け取るために、何度も足を煩わせることもなく、
本当に有意義な教師の日になったと、私は心から思う
まさに「VIVA 中国PTA!!!」 である。