日本に一時帰国中「親子クラブ」などに出席し、新しくママさんたちとお知り合いになると、
必ず質問される1つが「瀋陽からのフライト時間は?」である。
今までの経験から言えば、瀋陽という場所も「なんとなく、あの辺り…かな?」
「飛行機でも5~6時間ぐらいかかるのかな?」という意見が一番多い。
実は案外近く、直行便のフライトであれば東京(成田)ー瀋陽は3時間半、
我が子がまだ幼いこともあり、直行便のある中国南方航空を利用しているのだが、
先日Wechatの会員案内に、下記のようなお知らせが届いた。
この6月1日から、キッズ版(2~11歳)のマイレージカードが登場!
さらに文章を読み進めていくと、下記のような特典があるようだ。
- 通常版マイレージカードとポイント加算率は同じ
- ポイントの有効期限なし(通常版の有効期限は36か月)
- 6歳以下の会員は優先チェックイン、優先搭乗が可能(保護者2人まで同伴可能)
- 豊富な特典がいっぱい(ネットショッピングサイトのクーポン等)
日本では優先搭乗をさせてもらえるのだが、中国はあまり関係ないようで、
以前搭乗カウンターでお願いをしたのだが、「没有(=ない)」の一言で終了した。
今の年齢までになると、搭乗もそれほどもう心配はないだろうが、
瀋陽から日本に向かうフライト時間が早朝で、乳幼児は眠っているときもある。
その子供を抱え、オムツなどが入った大きなリュックを背負い、一人狭い飛行機の中を
「すいません」と言いながら、窓側の席に着くのは正直つらい時もある。
そのための“万が一”に備え、我が子の分の申請も試みた。
案内には中国南方航空の公式Wechat、APP、公式HPから申請が可能とのこと。
今回はHPを選択した。
キッズ版のマイレージカードは、未成年者が良く利用するクレジットカードように
おそらく「本体カード(親カード)」の登録情報の元に「付随カード(子カード)」が
できるのだろうと思いこみんでおり、さらには私が中国南方航空の会員だったこと、
会員登録画面だったことも重なり、何も考えずに私の名前でログイン。
だが、ここで問題が発生。
いっこうにキッズ版の申し込みサイトを見つけることができない。
HP上にある「在线客户(=オンラインサービス)」を利用するも、サービス員の対応ではなく
機械がキーワードを読み取っていく方法で、必要な情報がさっぱり表示されない。
そこで今度は「95539」のコールセンターに連絡を取ってみた。
すると音声案内の言語の選択に「日本語を選択の方は3を」と聞こえ、一気に好奇心を
掻き立てられた。
一旦躊躇はしたものの、好奇心が勝り3番を思い切って押してみた。
すると中国の方(とは分かる発音)ではあるが、流暢な日本語で対応してくれた。
どうやらキッズ版マイレージカードも、通常版と同様の登録が必要で、
「本体カード(親カード)」「付随カード(子カード)」という概念はないようだ。
そのため先ほど行った私の会員番号は一度ログアウトし、新たに子供の情報を
登録してほしいとのこと。
そしてログアウトすると出てきた「注册(=登録)」の画面。
「注册」をクリック後、左側「通常版」と右側赤色囲みの「キッズ版」の登録画面が出てくる。
ちなみにHPの言語は、中国語あるいは英語のみ。日本語はまだ未対応。
後は画面表示に沿って必要事項を入力していくのが、第1項目と第2項目で保護者情報
(会員カードナンバーとその暗証番号)の入力事項がある。
さらに面倒なのが始めに届いた案内にもあったように、保護者と同じ携帯番号と、
メールアドレスは使えない。
我が家は幸いホーム用インターネットを契約した際、1つ携帯番号をサービスしてもらえた
番号があったので、その番号で登録することにした。
カスタマーサービスの方も、HPの画面表示は日本語対応ではないため、画面表示を
説明するのが非常に難しそうであった。
(たとえば画面表示では「注册」と記載しているのに、日本語で説明するときに「『登録』ボタンを押してください」と言っても、中国語が分からなければ、どのボタン(あるいはどのこと)を指しているか、全く分からない。そのため「画面左側の人の絵の横の『登録』ボタンの、さらに隣のボタンです」という風に非常にまどろっこしい説明になる。)
そのまどろっこしさが、とても大変そうでご苦労されているように感じ
「中国語も少し分かりますので、説明しづらいところは、中国語でも構いませんよ」と
お話しさせていただいた。
会員登録をしてからすでに5年以上たっている私。
ふと、会員カードが紙製のもので、プラスチック製のものは郵送されてくる気配が
全くないため、そのことについても聞いてみた。
すると現在は電子版会員カードを採用しているため、以前の紙製のものさえも
すでに発行していない。もし必要と言うなら、自分でプリントアウトをしてほしい
との回答だった。
キッズ版の申請と紙製会員カードの質問を終え、お礼を言って電話を切ろうとした際
「すいません。お願いがあります」との一声。どうしたのか尋ねてみると
「私が電話を切った後、サービス内容について評価をしてもらいたいです。一番いい評価は
1ですので、1を押してほしいです。どうぞよろしくお願いします」
あぁ、このアピールは(サービスと言う意味で)ちょっと蛇足だったかもと
心の中で思う一方、「彼女の気持ちと発言は(査定にかかってくるを知っているので)
非常に良く理解できるし、このアピールこそが中国の方らしくて良いじゃない!」と感じた。
そのため彼女には「非常に丁寧にご対応いただき、また日本語もがんばっておられるので
1を押しますから、ご安心くださいね」と申し上げると、「ありがとうございます」と
彼女の弾んだ声が、受話器から聞こえた。
しばらくすると彼女の予告通り、サービス評価のアナウンスが始まり1を押して電話を切った。
政権が習氏に代わってから、中国社会全体が「世界の中国」として、外からの見られ方に
ナーバスになっている。
また景気下降気味の今、他者との差別化を図るには「サービス」が欠かせないという考えも
少しずつではあるが浸透してきた。
もちろん日本でも顧客からの評価は、査定に大きな影響を及ぼす。
しかし中国はそれ以上にシビアだ。
好奇心から「日本語サービス」を選択したが、彼女の対応から中国社会で生きていく
という厳しさを、改めて感じたような気がした。