先日12月24日、主人の会社に小包が届く。
(中国はあまり個人宅に荷物を送りたがらず、宛先を会社にすることが多い。)
見てすぐに、日本からだと分かる。
さらに実家の母親からのクリスマスプレゼントだということも。
主人がお昼休み、食事もとらずにわざわざ帰宅して届けてくれた。
開封途中、綺麗にラッピングされた赤い袋が見え、我が子はもう待ちきれずに飛び跳ねている。
輝くような顔と、キラキラ光る瞳でラッピングを解いていく。
大好きなトーマスシリーズのスペンサーと、トミカのブルドーザー。
嬉しくて、嬉しくてその日のお昼寝は、スペンサーを抱きしめて眠っていた。
そして主人には、私の父親と“一杯”するのが至福の時という日本酒の「月桂冠」。
このくぼみ具合が、海を渡ってきた証拠。
主人はもったいなく思い、今日に至るまでまだ飲んでいない。おそらく元日にFacetime越しに、
父親と一緒に飲もうと考えているのだろう。
他には、いかにも母親らしいプレゼントが詰まっていた。
瀋陽の寒い冬を思い、耳まですっぽりとかぶれる帽子。
昨年からかぶっている、私の祖母が編んでくれた毛糸の帽子はお気に入りではあるが、すでに小さく
新しいものを買い換えなければと思っていた矢先だった。
そして先日我が子が噛んで、破れてしまったベビーエプロン。
さらに年明けの発表会用に探していた、白いタイツと白Tシャツが入っていた。
また中国に戻ってきてから、空気が乾燥し、汚れているため咳がよく出る我が子。
こちら中国の薬は、子供の体への負担を考え漢方が処方されることが多い。
そのためどうしても「苦さ」が伴い、薬を飲ませるのも一苦労。
私がそんな話をしたことを覚えていてくれたのだろう。
実際には万が一のために病院からの処方箋に頼ると思うが、お守りのようで、
「ある」と「ない」では気持ちが随分と異なる。
次に出てきたのは、スーパーの袋いっぱいに入った日本食。
まもなく到来するお正月。
おせち料理の「数の子」を食べることを楽しみにしている私のために、送ってくれた。
さらには我が子が病気になり食が細くなると食べたがる森永のビスケット類と、子供用ビスケット。
他には、主人のお酒のつまみにもなるスナック菓子。
そして「料理は一生懸命作ってあげなさい」と普段は耳にタコができるほど言われ続けている私。
しかし『プチッと鍋』『即席お味噌汁』、ミニカップ麺の『MUGうどん』を入れてあるところに
「でも、たまには楽もしなさい」と、決して言葉にすることはない母親なりの愛情が溢れていた。
そして箱の一番奥に入っていた、私へのプレゼント。
母親自らが育てた黒豆、そして今年の新米。
塩や重曹、お醤油に砂糖なんてこちらにもあるのに、律儀にもグラム数まで測り入れてあった。
なんとも母親らしい。
またレシピや作り方なんて、母親と何度も一緒に作って知っているのに…。
丁寧に圧力鍋で炊く方法と、鍋で炊く方法まで添えてくれていた。
“昭和”の母親で、現在のママのように「愛してる」や「大好きだよ」という言葉は一度も
聞いたことはない。けれど母親の愛はいつも傍にあり、そしてとても温かい。
きっとこのレシピは、生涯捨てられない。
子供の頃、サンタクロースに会いたくて12月24日の夜は、徹夜をすると言い張った私。
でも9時を過ぎる頃には夢の中へ。
幼稚園の年長の時、みんなが持っていたリカちゃんセットが欲しいとサンタクロースに
お願いしたのに、枕もとにあったプレゼントはミニおもちゃピアノだった。
欲しいものと違うと大泣きしたことを、ふと思い出したりした。
相手を大切に思う気持ち。
それが“サンタクロース”なのかもしれない、そんなことを思いながら、母親の愛を全身で
感じたくて、思わずプレゼントを抱きしめた。