【前回までのあらすじ】
中国で親不知を抜くことになった私。
10年以上も中国で生活していながら、中国医療は信用していなかった。
が、不安とは裏腹に抜歯の施術中「全く痛くない」という結果。
さて、帰宅後。
昨夜の睡眠不足と緊張からの解放感から、ウツラウツラ。子供も母の傍でグーグー。
顎に当てたアイスノンも程よく溶け、時計の長い針が1周した頃、痛みとともに目が覚める。
麻酔が切れてきたのだ。
さすが、天下の親不知様。
痛みで天井が回って見えた。
どうにかこうにか台所までたどり着き、処方された痛み止めを口にする。
「なにこれ!? こんなによく効く痛み止め。は・じ・め・て!(ウィンク)」
と、思わずCMを意識してしまいたくなるほどの即効性。
そのバツグンの効力は夕方6時に服用し、痛みで夜中目を覚ますことなく、朝を無事迎えた程。
窓から差し込む朝日の光で目が覚め、起きついでにトイレへ。
手を洗った後、寝ぼけ眼で見た鏡には…
「えぇ⁉︎、はぁ? 誰!?」と思わず目を疑う。見事な腫れっぷり!
ちなみに結局この腫れが収まったのは1週間後。
幸い、あの即効性抜群の痛み止めは飲まず、日にち薬で少しずつ痛みも薄れ回復していった。
ただ、息子の寝相が掃除機ルンバのように、部屋中あますことなく、あっちにゴロゴロ、こっちにゴロゴロ。
3回ほど腫れてる頬に、キックとエルボーを頂戴しそうに。
そこはさすがの母の勘が働く。子供の動きを敏感にキャッチ!
マトリックスのように上手〜く、すんでのところでかわす。
ふぅ、危ない、危ない。
7日後、抜糸。
中国医療の信用度は急上昇したものの、そこは無意識に体がオチを欲してしまう関西人の私。
今回こそは痛いのでは、と勝手に1人でビクビク。
診察室のベッドに呼ばれ、深呼吸をした後「優しくしてね」と先生に目で訴えるも目線が合わない。
「先生~!」と念力をこめていると、
助手が「はい、こっち向いて~」といつものあのテンションで登場。
「抜糸ぐらいなら、助手がしちゃうのね。」と妙に納得。
パチン、パチン、パチンとハサミの刃が重なる音が耳に届いたと思ったら、
ピンセットで糸をつまみ出して、はい終了。
調子抜けもいいところ。処置時間2分。
ホッとしたのもつかの間。身を切るような先生の一言
「2週間後、調子が良かったら右の親不知も抜いちゃいましょう」
この恵まれた丈夫な体、2週間後何か起こってくれるわけもなく、
誰の予想も裏切らず、同じように診察室のベッドでまな板の鯉にされ、
右親知らずも、左側と同じように4分割され、ゴミ箱へと消えていきました。
(本当は2本ともお持ち帰りしたかったんだけどなぁ)
中国の医療をまだ完全に信用できなかった私は、後日日本に帰国した際、帰国ごとに検診で通っている歯科に予約をし、密かに様子を見てもらう。
「どうです?きちんと処置されています?」と不安気に質問する私をしり目に、
「こんなきれいな処置、見たことないほどです。完璧です!」と興奮気味に回答される先生。
院長先生までわざわざ出てこられ、皆さんで中国医療を“ご堪能”。
「私、そろそろ口が乾いてきたんですが...。」と心の声は届くはずもなく、「これもある意味で日中の架け橋か」と、お付き合いしました。
その様子を主人に報告したところ、
「中国の医師は毎日どれだけの患者を診ていると思ってるの?施術数だけはきっとNO.1。下手でも数撃ってれば、そのうち上手になるさ」と言って大笑いしていた。
今回の一件で、中国医療への信用度が大幅UP。
兄から日本での『親不知大災難 〜苦悩の抜歯1時間〜』の武勇伝を聞いていただけに、「もしや中国の方が快適⁉︎」とさえ思った私。
中国の生活も、やっぱり悪くない!
ところで、最後に気になるお値段は?
診察料、検査料、処方箋全て込みで、2本の親不知2500元(=約5万円)也。
技術は間違いなく中国東北地方トップだし、非常に満足のいく治療だったにせよ
いくらなんでも、高すぎるわ!