ちゃーちゃん@中国瀋陽

オンライン中国語講師|中国語ネイティブの発音と、より楽しく学べる方法を模索中|漫才や“脱口秀”など、面白い事(言葉遊び)が大好きな関西人

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【自叙伝】(10)中国語の種をまく ~最終話~

【前回のあらすじ】

2年間安定の落ちこぼれ留学生。

それが3年生の担任と出会え、文法の先生にも出会え、中国語が一気に開花する。

卒業時、優秀留学生賞と優秀卒業論文賞を受賞した私は、完全に自分を見失っていた。

だがその「勘違い」こそが意外な結果に結びつく。

 

その後卒業時までトップ10を維持でき、優秀留学生賞と優秀卒業論文賞を受賞した。

自惚れていたことも、調子にのっていたこともあり、この勢いで日本帰国後、

県知事と市長に手紙を書いて郵送した。

「中国留学経験者ですが、なにかお役に立てることはないですか」と。

 

その結果、知事からは「後ほど秘書から連絡させます」というメールが届き、

数日後県の人材登録センターから、登録シートが郵送されてきた。あいにく毎回の

活動センターには車で往復2時間以上かかることもあり、丁重にお断りをした。

そして市長からは手書きで3枚にも及ぶ返信が届き、後日市長室まで招待された。

そこでボランティアではあるが、市内の小中高校に出向き教壇に立ってほしいという

ご要望をいただいた。

 

これは地域活性化のプロジェクトの一つで、特技を持つ市民を集め、その特技を生かし、

学生たちに授業をするというものだった。

私の他には英語、手話、華道・茶道、農業、アカペラ、手品、俳句など、ジャンルを問わず

様々な人材が、オリジナルの授業を行っていた。

 

またこれは、生徒はあくまでも自由参加の活動で、放課後に行われること。

そして報酬はワンコインにも満たない、ほんの心ばかりというものだった。

 

それでも私は胸を躍らせた。

そして私が中学1年生、初めて目にしたELT(=English Language Teacher)から、

海外に強い憧れを感じたように、なにか学生の心に残るようなことが伝えられればと思った。

 

初めての学校は、母校の小学校。しかも初めての授業は1、2年生。併せて20人にも満たない。 

少し前に大きなランドセルを背負い、初めて校門をくぐった生徒も半数以上。

授業ではひらがな、カタカナを必死に学習している生徒たちに、いきなり中国語の

漢字を用いた授業は、いくら何でも難度が高すぎる。

 

そこで授業はまずは「視覚」で感じるものにしようとした。

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「この地図、いつもみんなが見ている地図と違うけど、どこが違うかな?」

「漢字ばっかり!」

 

そう言って珍しがる生徒たちに、中国語は全て漢字を用いて書き表すことを説明した。

そしてただ単に単語を覚えるような授業をしても、面白みに欠け退屈するであろうと思い、

中国語を学習していなくても知っているような「ニーハオ」「シェシェ」「ザイジェン」

(你好(=こんにちは)、谢谢(=ありがとう)、再见(=さようなら)などの

単語を一緒に発音した。

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 そして、それらの単語を使いゲームのフルーツバスケットをした。

つまり通常ならばリンゴと言うところを「你好」、ミカンと言うところを「谢谢」と。

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何度も同じ単語を繰り返し聞いたり、発音したりすることで「口と耳」で

中国語を体験してもらった。

 

さらに言葉だけでなく、文化にも触れてもらいたいとチャイナドレスを

男女問わず着てもらったり、私が中国でたくさん旅行した際に撮影した風景写真を

見てもらったりした。

 

授業はキラキラした目をした子供たちの、笑顔が溢れた。

私もとても幸せな時間だった。

 

その授業が好評を得て、市内の小学校、中学校、高校に授業をすることになる。

小学生でも学年が大きくなると、知的興奮を意識し、文化の部分も話しつつ中国語で

簡単な自己紹介ができるように導いた。

 

また中学生になると、自分の思春期と照らし合わせ、「外国語=英語だけではないこと」

「世界はとても大きいこと」を伝える内容にした。

 

高校では授業を割いての講演会となり、全校生徒の前で「進路」という話題を

織り交ぜながら話した。

また私自身が留学という目標(夢)を一時は見失ったが、思い続けること10年、国は違えど

その目標は叶えられたこと、願いは(たとえ形を変えたとしても)、思い続ければ

光が差し込んでくることなどを話した。

 

中国の大学院に入学するため、実際に市内学校の教壇に立てたのは半年であったが、

街中で生徒たちに出会えば「ニーハオの先生」と集まってきてくれることもあり、

本当に素晴らしい時間を過ごさせてもらった。 

 

そして昨年、「ニーハオの先生お元気ですか?」と題した、見覚えのないルアドレスの

メールを受け取り、恐る恐る開いてみると…。

 

ニーハオの先生、お元気ですか?

私は以前、先生の中国語の授業を受けた××と申します。

先生のお母様から、このメールアドレスをお伺いしました。

 

この春から大学生です。専攻は中国語です。

……(中略)

いつの日か、ニーハオの先生みたいに、私も中国語の種を植えたいです。

がんばります。 再見!

 

そこには約10年前に植えた中国語の種が、これからまさに発芽しようとしていた。

 


 

私の次の目標(夢)は、中国語の種を1粒でも多くまくこと。

このブログを始めたきっかけも、中国のことに興味を持っていただけたなら、

そしてマスコミで報道されている偏った情報、操作された情報ではない、日本人の

私の目から見える生の中国を感じていただけたら、と思ったからである。

 

人間なので合う合わない、好き嫌いがあるのは仕方ない。

今ではどっぷり中国にはまっている私でさえも、中国の大地に降り立つまでは、

中国のことを見下していた。「どうせ中国でしょ」「だから中国なんでしょ」なんてことも

普通に思っていた。

 

恐れ多くも、もし私のブログから少しでも「ん?」と、以前とは違う何かを

感じていただけたならば、本当に光栄なことだと思う。

そして「もう少し中国のことを知ってみようかな」と思われたり、あるいは

中国を知ることにより、中国語にも興味を感じていただけたならば、中国語が好きな私にとって、

「それ以上の幸せはない」と思える程、嬉しいことである。

 

2月6日から10日にわたり、駆け足で自叙伝を書いてきた。

しかし今回では取り上げられなかった、幼いころのおてんば娘、中学時代のいじめ経験、

高校時代のクラブ活動、大学時代の〇〇等、まだまだお恥ずかしい部分、思わず笑って

しまうようなエピソード、涙するような体験がたくさんあり、もちろん留学時代のお話も、

1日かかっても話しきれない程てんこ盛りである。

それらはまたこのブログで、少しずつお話しできればと思っている。

 

本日をもって自叙伝は卒業となるが、私が一度学生生活を離れ就職した後、再度留学という

かたちを以って、学生生活に戻ったように「特別編」あるいは「Part2」として、

また皆様に「自叙伝」をお話しできることがある、かも知れない。

それらをオモシロ可笑しくご覧いただけるよう、今日からまた真剣に、そして真摯に中国と

二人三脚の生活をしていきたい、そんな気持ちでいっぱいである。

 

最後になりましたが、10回にわたりご高覧いただき、誠にありがとうございました。

 


 

 この自叙伝を書くに当たり、迷っていた私の背中を押してくださった方が、お二人いらっしゃいます。たまたま小学校で教壇に立ったお話にご興味をいただけ、お話をさせていただいた後、本当に軽い気持ちで「私の自叙伝、もし書いたら読んでいただけそうですかね~」とお伺いしたところ、即答で「ぜひ、読みたいです!」と、心強くお気持ちをお聞かせくださいました。また語学コミュニティでこのやり取りをお話しした際、違う方からも投稿後すぐに「ぜひ!」とのお返事をいただき、そう言ってくださったお二人のために、と書き始めました。

 結果、本当にたくさんの方にご覧いただけることになり、大変嬉しく、また心より感謝しております。さらに私自身、中国と中国語との出会い、結びつき、そして現在に至るまでの葛藤や喜びなどを再認識でき、書き始めたあの日から今日に至るまでの約1か月間、いろんな出来事を思い出しながら、充実した時間を過ごすことができました。

 背中を押してくださいましたこのお二方には、この場をお借りいたしまして、御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。またこのお二人は海外で生活されていることもあり、海外ならではの悩みを話せる、私の大切な大切な同志です。お一人は中国語、お一人は韓国語とそれぞれの言語を武器に、ご活躍されていらっしゃいます。お二人とも素敵なブログをお持ちですので、ぜひそちらにも、足を運んでいただければと存じます。

 

 

 明日からまた通常ブログに戻り、生の中国をお伝えしたいと思います。引き続きご愛顧いただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

 

【自叙伝】(1)幼少期~高校入学

【自叙伝】(2)高校入学~2年生 

【自叙伝】(3)高校2年生~大学2年生 

【自叙伝】(4)大学3年生

【自叙伝】(5)就職活動

【自叙伝】(6)英語敗北宣言

【自叙伝】(7)中国への舵が切られた瞬間

【自叙伝】(8)就職時代

【自叙伝】(9)留学時代(+中国語入門、初級学習法&日本人発音講師ご紹介)