ちゃーちゃん@中国瀋陽

オンライン中国語講師|中国語ネイティブの発音と、より楽しく学べる方法を模索中|漫才や“脱口秀”など、面白い事(言葉遊び)が大好きな関西人

◆スポンサーリンク◆


中国人と距離を縮める基本マナー【お酒、お食事編】

「事件は“会議室”で起きてるんじゃない、“現場”で起きているんだ!!!」

1998年に放映された、織田裕二さん扮する青島刑事が、こう叫び話題を呼んだ映画

踊る大捜査線 THE MOVIE』。

f:id:chachan-china:20180828115319j:plain

ただ私自身が中国で働いた経験、主人や友人を見ていると、中国の場合はこうである。

「商談は“会議室”で起きてるんじゃない、“宴会の席”で起きてるんだ!!!」

 

つまり中国人と付き合う場合、絶対に外せない食事の席。

会議室ではの商談は形式的なもので、

実際には食事、特にお酒の席で執り行われていることが多い。

そこを勘違いしている日本ビジネスマンの口からは、

「会議室ではあんなに乗る気だったのに、商談が終わり、食事に行った次の日に

断られてしまったんだよね。どうなってんだよ!」と愚痴や怒りを何度聞いたことか。

 

そこで本日はビジネスおける食事やお酒の席での心得、ならびに

今日から使えるマナーとして、「誰もが知っておきたい基礎編」を紹介したいと思う。

もちろんこれらは中国人の友人や、そのご家族との食事でも役立つ知識として、

ぜひご覧いただきたい!

 

 

 「乾杯」とは、グラスに口をつけて終わりではない

 

“杯”を飲み“干”すと書いて 「干杯(=乾杯)」。

つまり中国人にとって乾杯とはグラスのお酒を一気に飲み干し、空にすること。

日本人のように、グラスに口をあて、チビリと一口飲んでいるようでは、

「こいつは私のことを大事に思ってくれていない」と

本来ならまとまる商談もご和算に。

 

女性でどうしても飲めない方は、お酒の代わりにお茶やジュースで、せめて一杯目は

グイグイと飲み干すと、相手から「いいね!」と称賛を受けることも。

f:id:chachan-china:20180829071010j:plain

 

お酒がさらに入り、勢いが増してくると「 干!(飲み干せ!)」と

乾杯の応酬にあうことも。

そんな時はグイグイとグラスのお酒を飲み干し、グラスをひっくり返し

空になったアピールを! 

f:id:chachan-china:20180829000329j:plain

 

最近は「随意(=ご自分のペースで)」と言ってくれる場合も出てきたが、

「随意」はあくまでも男性が女性に対しての、「ジェントルマン」的な対応。

男性同士、特に東北地方の方とグラスを交わす場合は、100%乾杯と心して臨むべき。

でないと、私は占い師ではないが「後悔しているあなたが見えます」。

 

ちなみに男女問わず東北地方の方は、お酒に強い人が多いので、

式典のような多くの人が集うような場所では、少しばかり距離を置き

頃を見計らってお酒を交わしに行くのも作戦の一つ、かも。

(小細工が通用しないほど、強い方もいるのも事実!)

 

 

乾杯でグラスを合わせたいが、遠くて届かない

 

大人数の接待は8人掛けの「八仙卓子」という、大きな円卓で食事をすることが多い。

10人掛け、12人掛けぐらいまでは良しとされるが、必ず偶数にすることが

基本マナーである。

f:id:chachan-china:20180828120137j:plain

着席したあと、みんなで乾杯。

しかし乾杯でグラスを合わせようとしても、向かい側の方は遠すぎて

手が届かない・・・。

そんな時は席を移動して、グラスを合わせに行くようなことはせず、

コップを円卓の上で「コンコン」と叩くことで乾杯の意味を表す。

 

「ガンガン」と大きな音で、自分の嬉しい感情を表現したり、存在感をアピール!

なんてことも中には少数派であるようだが、円卓の回る部分はガラス製。

決して割ったりされないように(笑)

 

 

乾杯の際、合わすグラスの高さは気を付けて!

 

乾杯をする際 、日本人がつい見落としがちなのが、カチンと合わすグラスの高さ。

「高さ」によって、地位の高さや年齢を表すので気をつけたい。

つまりビジネスでは、新入社員がおのずと一番低い位置で乾杯することになる。

f:id:chachan-china:20180828121256j:plain

「私なんて、そんなそんな・・・」とグラスの低さ争いが起こり、

お互いが我先にと、下へ、さらに下へとグラスを合わせていく。

また自分が明らかに上でない限り、下へと争い合うのは一種の謙遜も表わす。

相手にグラスを持ち上げられたりと、いつまでたっても乾杯できないなど

笑いが起こる場面でもある。

 

相手の地位が分からない時は、とにかく相手より下でグラスを合わす方が無難。

でも「じゃあ、地上すれすれで!」なんて、お笑いのようなことはされないように!

ジミーちゃんこと、ジミー大西さんはご経験があるようだが(笑)

 

 

自分のお酒は自分で注ぐ

 

日本でお酒を自分で手尺するのはタブーだが、

中国は「自分のお酒は自分で注ぐ」のが一般的だ。

ただ、相手が自分で注いでいるようであれば、その接待は失敗である。

 

また基本お酒は一人では飲まず、飲みたければ誰かを誘って飲むべきである。

その時はグラスを合わせ「乾杯」(あるいは「随意」)と言って飲み始める。

相手のグラスが空になれば、すかさず注ぎいれるのがマナー。

 

さらに自分のグラスに注ぐ前に、まずは相手のグラスに注いでから。

相手が自分で注ごうとしているならば、その瓶を奪い取ってでも

相手のグラスに注がなければならない。

 

相手に注ごうとする自分と、自分で注ごうとする相手。

お酒の瓶を奪ったり、奪われたり。

注ごうとして相手に瓶を奪われたら、「いやいやいや」と奪い返していただきたい。

f:id:chachan-china:20180829001057j:plain

 

また基本は「乾杯」をするので、グラスにお酒が残ることは少ないが

グラスを空にしてから、新たに注ぐのが良しとされる。

そのため相手のグラスにお酒が残っていたら、自分もグラスを持ち「乾杯」と言って

お互いグラスのお酒を飲み干したあと、相手のグラスに注ぐようにする。

もちろんその後、注ぎ返され、乾杯コールが入るのは覚悟の上で。

 

ちなみに自分のグラスは机に置いて、瓶は両手で持って注ぐこと。

時には臨機応変に片手瓶、片手グラスも必要だが・・・。

 

 

お酒を注いだ後、指を「トントン」とするのはどんな意味?

 

お酒でも、お茶でも相手に注いだ後、指2本で「トントン」と机をたたく場面に

遭遇したことはないだろうか?

f:id:chachan-china:20180828123236j:plain

これは注いでくれたことへの感謝の意味。

 

元々は宮廷でひざまついて、お礼を言う姿から来たそうだ。

人差し指と中指の2本を使うことが多いが、人差し指だけの1本でも同じ意味。

軽い会釈も日本人らしいといえばらしいが、郷に入れば郷に従えで、

次回からはこちらを使ってみてはいかがだろうか?

 

ちなみに間違ってノックの様に机をたたいても

「は?」となって終わるので、ご注意を(笑) 

 

 

北は「白」と決めつけるのは危険

 

みなさんもご存じ、「白」とは茅台酒(マオタイ酒)を代表するような白酒のこと。

こちらかなりのアルコール度数も53度というものもある。

しかも白酒の中でも最高級品の一つと言われ、目が飛び出すほど高いものもある。

たとえばこちら。

f:id:chachan-china:20190602072813j:plain

化粧箱に入れられているだけあり、なんとお値段は17288元(≒27万2000円)

 

ただ習近平国家主席に政権が代わってから、賄賂の取り締まりが厳しくなり

お酒の席が賄賂多発機会となること、またこれら高級なお酒を贈ることも

一種の賄賂とあり高級なお酒が好まれず、売り上げもガタ落ちである。

 

また最近の若者で、特に南方地方の方は飲まない方も多く、

今までお酒とタバコは手放せなかった中国社会も、だんだん様変わりしてきた。

様変わりの一つと言えば、10年程前からワインが好まれ始めたことも挙げられるだろう。

 

中国は広大で、地域によって好みのお酒の種類が異なる。

北方地域、特に東北地方の人たちは、お酒に強いこともあり「白酒」を好む傾向がある。

しかしここ瀋陽に限っては、ビールであることも触れておきたい。

普通のレストランで(朝から)ラッパ飲みで、何十本とビールを飲んでいる人たちを

見かけることも少なくない。

 

 

中国も、上座・下座はあるのか?

 

日本のテーブルマナーに席順、上座・下座 があるように、中国にもマナーがある。

円卓の基本スタイルは上記のもので、入口からもっとも離れた席が上座となり、

入口に近づくにつれて下座となっていく。 

 f:id:chachan-china:20180828125714p:plain

中国の宴会の席次は、西洋の場合とちょうど正反対である。

西洋では主人側の座席に近いほど位が高いが、中国では主人側の座席に遠いほど、

位が高くなっている。いうなれば西洋では親しさを、中国では礼節を重んじる。

 

また北の奥の位置が両首座(主客)となり、次に東側を第一座、西側を第二座とし

入口を背にして主客と相対する席が、主人の座る席になる。

部屋の入口によっては必ずしもそうならないので、

入口から一番遠い席を主客席とし、案内すればよい。 

f:id:chachan-china:20180828130445p:plain

 

 

いつから食べ始めるべきか?

 

中国の礼節もだんだん曖昧になりつつあるが、教養やマナーがある人として

見られるには、いつから食べ始めるかも知っておきたいマナーの1つである。

 

主客という場合が多いが、そのテーブルで一番重んじられる人

箸を持ち上げ料理に触れるまで、その他の人たちは箸も持たずに待つのがふさわしい。

接待の席では第一主客が、春節などの親戚の集まりでは最長老の方となる。

f:id:chachan-china:20180829003319j:plain

 

「食事は出されたらすぐ食べたい!」と、いの一番でご飯にありつきたい方は、

早く出世されるか、それがダメなら、長寿を目指していただきたい(笑) 

 

 

箸を置く方向は? 卓上マナーは?

 

日本は箸を横置きするが、中国は縦置きし、レンゲと並べておくことが多い。

f:id:chachan-china:20180829003516j:plain

 

また和食では箸を反対向きにして、大皿から小皿へ取り分けることが多いが、

中国ではNG。また席を立って料理を取ることもマナー違反。必ず座って料理を取る。

 

料理を取り分けるときも、食べるときも、取り皿は一切手に持たない。

手で持ち上げてよいものは、レンゲ、箸、グラス、茶碗のみ。

日本人の習慣で、どうしてもお皿を持ち上げたくなったときは、

代わりに相手の気分を持ち上げて!

f:id:chachan-china:20180829004110j:plain

もちろん、取り皿を持ち上げて、かき込むように食べるのはマナー違反。

 

円卓は時計回りが基本。回す速さにも気を付けて!

f:id:chachan-china:20180829004335j:plain

最初に料理を取る順番が回ってきたら、他の人の分が足らなくならないように

人数のバランスを考慮して取り分ける。

 

また酔ってくると力の加減が分からず、円卓を力強く回す方もでてくる。

何気なく置いたグラスやスープの器、お酒の瓶などが

回された円卓に当たってひっくり返ることもあるので、置く場所には配慮して!

 

 

大量に出された料理は、食べきらないとダメ?

 

日本ではご飯を残すのは礼儀知らず。

料理を作ってくれた人、運送者、生産者・・・、ここの食卓に届くまで

携わった全ての方への感謝をこめて、食べきるのがマナー。

 

しかし中国は「出された料理食べきる=出された料理が少ない」と

おもてなしが足りない!という不満の意味になるので、必ず少量でも残すこと。

 

ただ最近、とくに上海をはじめ南方地方では「もったいない」と言う感覚が浸透し始め

食べ切れる分だけ注文する、という現象も。

周りの様子をみながら、微調整はしつつ、中国人の基本精神は

「食べきれないほどのおもてなし」ということを、頭に置いておかれた方がベター。

 

 

 「そこまでおっしゃるなら、では、一口だけ」は命取り

 

中国人と言うととても範囲が広く、私の生活している東北地方と範囲を狭めるが

東北人のお酒の飲み方は、白か黒。つまり「飲む」か「飲めない」か。

 

下戸なのに、「せっかくすすめてくれたんだし、一杯(一口)だけ」と、

日本人特有の譲歩の美徳から、コップに口をつけようものならば、

今までは遠慮していたんだと言わんばかりに、乾杯攻めに。

どうか、病院送りは覚悟の上で。

 

少しぐらい飲める程度ならば、「飲めない」で押し通した方が身のためである。

 

 

食卓商談を成功させるには!

 

中国のビジネスは会議室ではなく、接待、つまりレストランで

進んでいく、あるいは「おおよそ決まる」といっても過言ではない 。

お酒を飲ませて、相手の本心を見抜き、ビジネスを有利に持っていく。

 

そのため、もし日本から一人で中国に出張で来られるならば

相手は複数人でお酒を飲ませに来るので、その攻撃をどのようにかわすかを

あらかじめシュミレーションしておくことをお勧めする。

 

またお酒が弱く、取引先のキーマンにどう見ても勝ち目がないなら、

現地社員と協力してリレー方式で飲み交わすのも、大いに有効な戦略と言える。

 

少し余談になるが、私が上海で就職していたときのこと。

取引先の中国人社長から「飲んだ杯数分だけ、契約金額を上げてやる」と言われ、

テーブルにあったお酒を、片っ端から飲んだ私。

最後に社長から「もう勘弁!」と言われた武勇伝(?)を持っていたのは、

もう遠い昔・・・。

f:id:chachan-china:20180829005247j:plain

それほどお酒の席での一言一言が、すっかりそのままビジネスに結びつのも

ここ中国では、雨の日には傘をさすほど、当たり前のことである。

 

また日本では「お酒の席は無礼講」と言われることもあるが、中国は全く通用しない。

例え相手がそう口にしようとも、それはあくまで建前の話。

お酒にだらしのない人として、不合格のレッテルを張られることに。

そのため、まずはお酒で酔わされないことが、食卓商談の大前提である。

 

ただ一つ注意したいのは、特に東北地方では友人同士では吐いてしまうほど飲むと

「够意思(=友達がいがある、友情に厚い)」と思ってくれることも。

とは言えやはり、「酔った勢いでいらぬことまで、口ばしっちゃって」と

ならないためにも、酔ったふりができることも身を助けるのは確か!

 


 

今日は食事マナーの基本も基本、超基本部分を取り上げてみた。

中国ではこれら食事の席のマナーに関しては、山東省あたりが

一番重んじられていると耳にしたことがある。

 

今日取り上げたのはごく一般的なマナーで、地域によっては多少異なることもあるため

分からない場合は勝手に振る舞わず、必ず現地の方に尋ねられることをお勧めする。

 

マナーを重んじることは、相手を尊重すること。

少しの心遣いで、きっと食事の席もさらに楽しくなるはず!