前回オススメ中国語原書をご紹介してから、早くも約100日が過ぎようとしている。
まさに「时光流逝(=時が流れるごとく過ぎ去る)」である。
前回の記事以降、少しバタバタした生活を送っていたこともあり、
小説のような長い時間をかけて、物語を追っていくことは少し厳しかったため、
1日ずつ進んでいけるようなものを読んでいた。
そこで、今日はこれまで読んだ2冊について、少しお話ししたいと思う。
まずはこちら。《史上最强笑话王大全集》。マニアック度★★☆☆☆
言語を学習されていらっしゃる方なら、一度は経験したことがおありではないだろうか?
文化によって「笑点」が違うことを。
義母が演芸が好きで、家族が集まるとよく京劇や相声(=日本の寄席演芸に例えると、
漫才に相当する)を見に行くのだが、周りが笑っているのに一人だけ置いてきぼりな時がある。
文字という上辺は分かっていても、その後ろに付随する文化を理解しなければ、一緒に笑えない。
そのためこの本で、どこまで笑えるかを試してみたかった。
短いものであれば2-3行、長いものでも約半ページ程に収められており、
ページがどんどんと進んでいく。
くすくすと笑えるもの、「う~ん、分からない…」と主人に笑点を聞かなければならないもの
「これは使える!」と思うもの、それぞれありおもしろかった。
ただ本全体としては“腹を抱えて”というレベルでなかったのは、私のレベルが低いのか
それとも本のレベルが低いのか…。
老婆:“你怎么老说我傻?”
老公:“男人都喜欢说自己喜欢的女人傻。”
老婆:“为什么?”
老公:“找到同类了,高兴呗。”
上一句:“有朋自远方来”,请填下一句:
一个同学答:“尚能饭否?”
《史上最强笑话王大全集》より抜粋
もう1冊は、林致远の《大国医》 。マニアック度★★★★☆
我が子が小児マッサージに通いだし、早半年。
マッサージをしながら、お医者さんが事細かに中医の知識を教えてくれる。
最近は古文も用い話してくれるため、余計に興味を持ち始めた。
西医と比べ即効性に欠けることもあるが、副作用がなく自らが持つ治癒力や抵抗力を
高めることで、病気を未然に防ぐという考え方だ。
こちらの書籍は古文の部分もあり、それについての現代訳も一緒に記載してくれている。
さらに医食同源の名のごとく、その症状に聞く食物、調理の仕方、食べ方などの説明もあり
中国の方に「あれとこれは一緒に食べてはダメ」「その食材は体を冷やすから炒めなきゃ」
と言われる意味が、少しずつ分かるようになっている。
これから暑い夏に向けて、冷たいビールは「グッ!」とくるが、
胃に非常にダメージを与えるため、そこは「グッ!」と我慢をしなければならないようだ。
時には「我は修行僧か?」と思うほど、制限が厳しい項目もあるが、
やはり「良薬口に苦し」と治療ではなく、「良法体に辛し」が“防病”なのだと思い知らされる。
今回は中国文化と関係の深い、「娯楽」と「中医」の分野から原書をご紹介した。
これらの積み重ねが、最終的には中国の方のロジックや物の見方、センスが分かる材料に
なると思えて仕方ない。
ただ日本人の私からすれば、字面は追えてもどうも意味が取れないと言うところもあり
さらに文化に浸っていこうと思わせてくれた、そんな2冊でもあった。