twitterの書き込みを拝見したり、交流会に参加することで、
中国語学習初級者の悩みに触れる機会が多くあります。
私自身を振り返り、特に留学当時、毎日授業にも欠かさず出席し
宿題もきちんと提出しているものの、中国語のレベルアップは感じられず
先生にはそれらの不安を中国語では伝えられず
さらには、悩みや学習方法を相談できる先輩日本人との交流もなく、
あまり効率的とは言えない学習方法を、繰り返していた時期がありました。
中国語を始めた年齢もかなり遅めで、なおかつ器用ではない私。
いくつもの遠回りや挫折、失敗を繰り返し、今日までやってきたと思います。
それらの経験を、いわば反面教師としていかし
学習者さんが必要でない回り道を事前に防ぐようなお話をし
その回り道のために、本来費やしていたであろう時間を
勉強だけでなく娯楽の時間にあててみたり、趣味や楽しい事、
そしてご家族やご友人と一緒に過ごされる時間に使い、
より豊かな人生を過ごしていただきたいと思っています。
こんなことを思い、今回開始したのがこの学習プロジェクトです。
中国語学習を開始し、最初の頃はピンインが読めるようになり、“最近好吗?”や、簡単な自己紹介が言えるようになるだけでも、ワクワクの達成感がありました。それが学習が進むにつれ、“我学了三年汉语。”と“我学了三年汉语了。”はどう違うのか? “事情来得太突然。”はなぜ“忽然”が使えないの? 「私の発音は大丈夫?」というような多くの疑問が湧いてきます。
それらの疑問を、HelloTalkやHiNative等で質問するも、核心をつくような具体的な答えが返ってこない場合があります。またスクールに通っていらっしゃる方でも、大手スクールなどはカリキュラム通りに進まなければならず、質問を深く掘り下げて解説してくれることや、丁寧に発音指導をしてくれることはあまりないように思います。さらに今深刻な問題として、SNSで情報を気軽に発信できることから、誤解を招くような解説、あるいは間違った解説が混ざっていることが多くあります。
その他にも、「スクールのスケジュールは合わないが、質問を丁寧に解説してもらいたい!」「定期的に発音の確認をしてほしい」「あくまでも自分のペースで学習をしたい。けれどモチベーション維持が難しいため、『誰かに確認してもらう』ことで間違いチェックをしてもらいながら、学習を継続できればいいな」というようなお話も、よく聞こえてきます。
さらに独学の方は、中国語学習は、いわば「地図も標識もない砂漠に居る」ことに似ており、違う方向に歩んでしまうと体力を消耗するだけでなく、命を落とす(=挫折をして放棄してしまう)危険性もあります。さらに方向は正解だったとしても、一刻も早くと目標地点を目指すばかりに、空回りや息切れをしてしまうこともあります。つまり検定試験合格後、燃え尽き症候群になり、そこから先の学習が手に付かない事態に陥ってしまう方も、たくさんいらっしゃいます。
発表直後にお申込みいただき、すでに始められた方もいらっしゃいます。
本当にありがたい限りです。
また最初の面談で一緒に学習プランを立て、意気込みをお伺いするのですが、
どの受講者さまからも私の方が刺激をいただき、オフラインの対面ならば
「ありがとうございます!」と、思わず固く握手し、感謝を表したい
そんな気持ちでいっぱいです。
先日、ご自身で単語作文をされた文章について、ご質問を受けました。
ちなみに「単語作文」とは、与えられた単語を使い、自分で文章を作ることです。
例:(又……又……)⇒ 新开的那家餐厅又便宜又好吃。
私も留学時代、よく出された課題でした。
当時真面目(?)な留学生だった私は、与えられた単語に合うようきちんと考え、
言いたいことで分からない中国語の単語は、一つ一つ日中辞書を引き、
提出していました。
しかし、先生から返却されるノートは真っ赤。訂正の嵐でした。
母語であれば幼いころから培った語感があり、
間違いには、自分自身で「あれ?」と気づけます。
例えば「私は行幸する」とは言いませんし、「都内に本日と雨だった」と書けば、
助詞が違うとすぐに分かります。
コロケーションも、まさか「ご飯を飲む」とは(普通なら)言いませんし
「パパと母上様」というような表現も、かなり特殊な場合を除いて言いません。
それが外国語となると違ってきます。
ネイティブからすれば、ありえない単語の組み合わせを選んでしまうこともありますし
全くあてはずれの介詞を用いてしまうこともあります。
中国語らしい表現はもちろんのこと、短文を誤りなく作り出すことも困難です。
文章を作ることに非常に時間がかかり、なおかつミスが多いとなると、
やり方を見直すことが必要となります。
特に初級の場合は与えられた「中国語単語」を辞書で引き、
載っている例文の一部だけを変えて、文章を作る方法をオススメします。
例:这个菜很辣,不过很好吃。⇒ 这个菜很辣,不过很香。
お恥ずかしながら私自身、文章を作ることに時間を割くよりも、
正しい文章を多く覚えていく方が、効率的な学習法であると気づいたのは、
かなり後になってからでした。
(私は決して真面目ではないですが、)真面目な方ほど
文章を自分で考えず、辞書に載っている文を書き写し、
一部を変えるだけで提出することは、「ズルをしている」と抵抗があるようです。
私自身もそう思っていました。
しかいこういう”ズル”はしてもいいんです!
むしろ積極的にして、正しい文章を覚えることで、語彙力や表現力、
語感を鍛えていく方が大切です。
そのことを、留学当時、誰かにアドバイスしてもらえていたなら…。
私の失敗談から、特に初級の頃は、取り組み方と学習順序も大切だということを、
ご質問いただいた生徒さんに、お話させていただきました。
このような勉強方法や、道しるべとなることをお伝えするのも、
今回ご紹介しております、「伴走学習」の内容の1つです。
そういえば先日、いつも非常にがんばっていらっしゃるbaobaoさんが
ブログでこんなことを書いてくださっていました。
先生はエスパーですか!?
「エスパーですか?」というお言葉そうですが、
ブログを拝見し、今までの挫折も報われた気がします。
「私が〇〇したときは、××でつらかった」という気持ち。
例えば「発音矯正2か月目、違いは分かり始めるがうまく言えず辛かった」
「言いたいことが言えずに、自分にイライラした」などの感情を
私はいつも抱いていました(現在進行形のものもありますが…)。
もちろん皆さんの状況は千差万別ですが、ひとくくりにはできませんが、
私自身の経験を踏まえ、どんな小さなSOSの信号も、
できる限り見逃さずにいたいと思っています。
また懸命に取り組むがゆえに、オーバーヒートになりがちであれば
勇気をもって休憩することをお伝えするのも、私が担当させていただく授業で
大切な項目の1つです。
とは言いながら、決して万能ではないので、授業の後はいつも「ひとり反省会」。
あそこは、あんなふうに言わないほうが良かったかも。
少し情報量を欲張って伝えすぎてしまった。
さっきの言い方は、誤解を招いてしまったのでは…。
そんなことを思いながら、夢の中でも授業をしている毎日です(苦笑)
今まで中国語を取り巻く環境の中で、多くの方が私のことを助けてくださいました。
その感謝と、そして「中国語って愉しい」と多くの方が
いろんな愉しさを感じていただけるよう、これからもさらに進んでまいります。
追記
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