私の地元は、方言がかなりきつい。
そのため東京で就職し、お客様の前で初めて話をした際、
「あなた地方出身? 何言ってるか分かんないんだけれど」と言われたことがある。
ここで生きていくためには(=この会社で顧客を獲得するには)
標準語を身につけなければと、暇があればNHKを聞いたり、同僚の話し方に
耳を澄ますような新入社員であった。
その後、留学で北京に渡り、たくさんの日本語を学ぶ人に出会った。
私がマンダリン(中国語普通語)を学びたいように、
彼らも日本語標準語を学びたいだろうと、発音には人一倍気を遣っていた。
とは言いながら、専門的な訓練を受けたわけでもなく、
今でも気を抜くと、すぐに地元の発音になりそうになるのが現状である。
そんな経緯があるからか、あるいは北京での学生生活、上海での就職と
北方と南方で生活をした経験があるからか、方言や言い回しに非常に興味がある。
どの方言も尊重されるべきであるし、その人の懐に入るために、
できれば少しでも使い分けができれば、と思ってはいるが、
正直慣れているのは生活が長いこともあり、北方のほうだ。
Southern Mandarin VS. Northern Mandarin 南北差异 - Chinese Conversation
北方 | 南方 | |||
---|---|---|---|---|
レストランに行く | 去饭馆儿 | qù fànguǎnr | 去饭馆 | qù fànguǎn |
下馆子 | xià guǎnzi | |||
店員 | 服务员儿 | fúwùyuánr | 服务员 | fúwùyuán |
お碗 | 碗儿 | wǎnr | 碗 | wǎn |
皿 | 盘儿 | pánr | 盘子 | pánzi |
ちりれんげ | 勺子 | sháozi | 调羹 | tiáogēng |
ポット | 暖壶 | nuǎnhú | 热水瓶 | rèshuǐpíng |
コイン | 钢镚儿 | gāngbèngr | 硬币 | yìngbì |
ワンタン | 馄饨 | húntun | 云吞 | yúntūn |
カリフラワー | 菜花 | càihuā | 花菜 | huācài |
トマト | 西红柿 | xīhóngshì | 番茄 | fānqié |
アイス | 冰挂儿 | bīngguàr | 雪糕 | xuěgāo |
元宵(湯円) | 元宵 | yuánxiāo | 汤圆 | tāngyuán |
自転車 | 自行车 | zìxíngchē | 单车 | dānchē |
冬物インナー(上着) | 秋衣 | qiūyī | 棉毛衣 | miánmáoyī |
冬物インナー(下着) | 秋裤 | qiūkù | 棉毛裤 | miánmáokù |
モップ | 拖把 | tuōbǎ | 墩布 | dūnbù |
箒 | 扫把 | sàobǎ | 笤帚 | tiáozhǒu |
寮 | 寝室 | qǐnshì | 宿舍 | sùshè |
時計(音が出るもの) | 钟 | zhōng | ||
時計(上記以外) | 表 | biǎo | ||
腕時計 | 表 | biǎo | ||
時計(上記以外) | 钟 | zhōng | ||
母の父 | 姥爷 | lǎoye | 外公 | wàigōng |
母の母 | 姥姥 | lǎolao | 外婆 | wàipó |
息子 | 小子 | xiǎozi | ||
娘 | 闺女 | guīnǚ | ||
分かる | 知道 | zhīdao | 晓得 | xiǎodé |
ご飯を作る | 做饭 | zuò fàn | 烧饭 | shāo fàn |
水を沸かす | 做水 | zuò shuǐ | 烧水 | shāo shuǐ |
恋愛をする | 搞对象 | gǎo duìxiàng | 谈恋爱 | tán liàn'ài |
恋人 | 对象 | duìxiàng | 男朋友/女朋友 | nán péngyǒu/nǚ péngyǒu |
你做什么呢?/你干嘛呢? | 你整啥呢? | nǐ zhěng shá ne? | 你搞什么呢? | nǐ gǎo shénme ne? |
でたらめ | 胡说 | húshuō | 乱说 | luàn shuō |
なくした | 丢了 | diū le | 掉了 | diào le |
落とす | 掉了 | diào le | ||
重い | 沉 | chén | 重 | zhòng |
見つからない | 找不着 | zhǎo bù zháo | 找不到 | zhǎo bù dào |
方向の言い方 | 东南西北 | dōngnán xīběi | 前后左右 | qiánhòu zuǒyòu |
以前Twitter で、“服务员”問題が勃発していたが、
少なくとも瀋陽では、ほとんどの人が“服务员儿”と言っている。
また主人や義両親、親戚も瀋陽人だが彼らから“做水”は、聞いたことがない。
(“服务员”問題とは、レストランなどで店員を呼ぶ際、服务员と呼ぶのは失礼で、
你好などと呼びかけるという話)
おそらく一昔前なら、東京で関西弁を話すと少し好奇な目にさらされた。
しかし国内移動も便利になり、東と西という境界線も薄れてきたように思う。
テレビでも普通に関西弁を話すこともあり、生活の中でも、
違和感が前ほどではなくなってきている(ように思う)。
中国も同じで、“你吃几个元宵?(元宵いくつ食べる?)”と聞かれた後、
しばらくして、“汤圆好了!(湯円できたわよ!)”という風に言われることもある。
義父が”这个很重啊!(これ重いね!)“と言い、
それに呼応する義母が”是啊,太沉!(そうね、本当に重いわ!)“という会話が
普通に成り立っている。
本文の先生方もおっしゃっていたように、どちらでも聞き取れ
コミュニケーションに障害はほぼないことから、まずは覚えやすい方から
少しずつ語彙を増やしていけばいいと思う。
方言でも習慣でも、必要に応じて“出し入れ”できるのが
相手に対する尊重でもあり、相手との距離を縮める有効手段でもあるため、
排他的にはならず、学んでいきたい。