ちゃーちゃん@中国瀋陽

オンライン中国語講師|中国語ネイティブの発音と、より楽しく学べる方法を模索中|漫才や“脱口秀”など、面白い事(言葉遊び)が大好きな関西人

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情熱中国(8-2)【井田綾さん・中国語発音矯正、中国語発音指導法講師】

中国にゆかりのある「人と人」「人と情報」をつなげたいという熱い思いから

始まった企画。その名も「情熱中国」

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(※決してパクリなどはしておりません。もとが良いので敬意を表し、少々拝借しているだけです。)

 

第8回目のゲストは、中国語発音矯正講師、中国語発音指導法講師である井田綾さん。

中国語の発音が気になるなら「りんず中国語ラボ」でクセ改善を


中国語をある程度マスターしたという方でも、発音に関する悩みは尽きないものです。中国語には独特の発音法があり、学習者一人一人もそれぞれ異なるクセを持っていることがほとんどです。中国語の発音に悩んでいる方は、りんず中国語ラボの講座をご利用ください。

スマホやパソコンがあれば、どこからでも利用できる、オンラインのプライベートレッスンをおこなっており、個々の受講生のスキルと目標に合わせた内容を提供しています。通訳として働きたい、仕事で中国語を使っているといった方も、適切な発音チェックを行い、矯正が必要な個所を明確にできるりんず中国語ラボをご利用ください。

idaaya.com

 

情熱中国(8-1)【井田綾さん・中国語発音矯正、中国語発音指導法講師】

 

それでは昨日の第1部に引き続き、井田綾さんの中国語発音についての熱い思いを

ぜひ感じ取っていただきたい。 

 


 

 それ(2004年頃に歴史のある学校でさえも閉校され、社会情勢の影響を受けることを目の当たりにし、衝撃を受けられたこと)で「個人事業でやろう」と思われたのですか?

 その気持ちはかなり後までありませんでした。実はサラリーマンを辞めたのは、体を壊し休養している間に結婚し、子供を授かったからです。
 会社勤めをして4年目ごろに全身順繰りで湿疹が出て、漢方薬で治めたものの、今度は蕁麻疹が出てひどい状態になりました。おそらく体調はその前から崩していたのですが、無理をして気付かないふりをし、数年間放置していました。「私は体調が悪いんだ」と自覚をした頃は、すでに限界を超え、体が悲鳴をあげていました。
 ある日、出勤のため起きなければと体を起こそうとしたのですが、どうしても起き上がれず、会社に行けませんでした。「動けない」という症状を実際に自分が体験し「本当にそんなことが起こるんだ」と、その時初めて知りました。

 

 そうだったのですか、苦しかったですね。当時彼氏だったご主人の支えはありがたかったのではないでしょうか?

 出勤できなくなったのは、主人と付き合い始め半年程経過したころでした。付き合って半年の彼女が病気になれば疎遠になることもあると思うのですが、まめに連絡をくれたり散歩に連れ出してくれたり、いろいろ気にかけてくれました。振り返れば、主人の支えがあったおかげで孤独を感じることがなく、本当にありがたいことだったと感謝しています。
 勤め先の東方書店では1年間の傷病をいただきました。1年間療養すると、休憩しながらであれば電車に一人で乗ることができるまでに回復しておりましたが、フルタイム通勤ができるまでの回復は間に合わず退職せざるを得ませんでした。東方書店は学生時代から大好きな会社で、入社できたことが非常に嬉しかっただけに悔しい思いをしました。

 

 東方書店は中国(大陸・香港・台湾)に関する本の専門書店であり、さらに本がお好きな綾さんには本当にお辛かったでしょうね。

 まったくその通りです。ありがたいことに、辞めるときにも温かく送り出してくださいました。また病気になったときも上司が病院に付き添ってくださる程、よくしていただきました。
 復帰はできませんでしたが、退職後も本の制作に関わる作業を振っていただくなど今でもご縁が続いています。

 

 それはだいたい、おいくつぐらいのことですか?

 34、35歳の頃でした。体調不良で通勤が難しくなり会社に通えなくなったため、これからは一人でやっていかなければと思いました。またこの時期に「心残りだったことにチャレンジしよう!」という考えに至り、中国語教員免許の取得を目指しました。私は歴史学出身のため、大学時代に取得したのは地理・歴史の教員免許だったのです。余談になりますが私が在籍中の早稲田大学は、中国語教員免許の取得カリキュラムがなく、中国文学専修の学生も国語の教員免許を取って卒業していくという時代でした。

 

 気持ちの切り替え、とても強い方だなと思いました。
 中国語の教員免許取得方法はブログでもご紹介されていらっしゃいますが、こちらでも簡単にお聞かせいただけますか?

 佛教大学の通信課程で学びました。テキストを読みレポートを書き、夏の暑い京都で2週間のスクーリングに参加しました。このスクーリングでは、傷病休暇後、一人で電車に乗り、自宅以外の施設で寝泊りができるまでに回復したという達成感を味わえました。その後、年度末までレポートを提出し続け、2008年に中国語の教員免許を取得することができました。

 

 京都の夏は暑いですので、休養からの復帰への大きな励みになったのではないでしょうか。
 教員免許取得において通学ではなく通信講座だったことで、ご苦労されたことはありますか?

 教員免許を申請するため、埼玉県の教育委員会に書類を提出しに行く必要がありました。その際、学校の先生の推薦状が必要だったんです。私は他の学生さんとは違い、学校に所属をしていなかったため、他の方でも良いかどうかを確認したところ、「私の人柄が分かれば可」ということでしたので、先ほどお話した東方書店の上司にお願いしました。退職した私のために推薦状を書いてくださり、本当にありがたいことだと思っています。

 

 そうだったのですね。上司のお力添えもあり無事講師登録をされた後、すぐに中国語発音講師をされたのですか?

 傷病休暇の期間が尽き退職を余儀なくされた後、「りんずプロダクション“ 绫子工作室 ”」という屋号を決め、ホームページを出しました。会社という組織に頼らず、自分一人で生きていかなければと、産業翻訳や編集制作関係の仕事を始めました。その時は中国語を教える仕事は自宅ではなく、どこか(教室など)に行かなくてはできない仕事だと思っていたため、中国語講師の看板はまた掲げていませんでした。
 それから1年間、一生懸命いろんな仕事をかき集め、努力を重ね200万円稼ぐことができたことが、大きな自信になりました。一方で、体調が万全でないなか仕事の比重が重すぎて、このままでは生活とのバランスがうまく取れないと感じました。

 

 確かに体調もまだ万全ではなかったと思いますし、ワークライフバランスはとても重要ですよね。その後、働き方をどのように変更されていったのですか?

 療養中に支えてくれた主人と2007年の大晦日に入籍しました。当時はまだ35歳過ぎると高齢出産と言われる時代でしたが、幸い子供を授かることができ、2008年8月、つまり独立して1年経過したところで産休に入り、2007年の暮れに始めたNHKオンライン“華語視頻節目”の、中国語キャスターのお仕事も終わりにしました。2008年11月に第一子が生まれ、その後は本の編集と翻訳の仕事を細々と受注していました。
 2004年にブログを始め、常に中国語関連の情報にはアンテナを張っていました。しかし産後はそのアンテナも張れず、情報に追い付けないという期間がありました。ただその期間があったからこそ、生活のために働かなければと追われていた私から脱却でき、体を休ませることができたと思います。
 その後第二子も授かり、2016年頃まで仕事をセーブして過ごす傍ら、而立会に力を注いでおりました。

 

 「而立会」とは中国語翻訳者たちが集う団体のことですね。そちらについて、少しお聞かせいただけますか?

 正式名称は、特定非営利活動法人日中翻訳活動推進協会と言います。日中間の交流があらゆる面で活発になっている今、自分で必要な情報をとることが出来なければ、今後のグローバル社会では生き残っていけませんので、自分で生の情報に触れ、直接理解し自分の仕事や事業に生かす能力を育成しているNPO法人です。
 而立会は2004年に発足し歴史があります。私が産後休暇中の2010年に、翻訳者育成のための施策を色々と練っており、その一つに認定試験を作成するという案が出てきました。その後協議を重ね、実施することに決まったため、試験審査員の招集から審査基準の作成など、フルタイム勤務者ほどの時間を毎日かけ取り組んでいました。
 その取り組みが、ひと段落したのが2016年でした。ちょうどその頃体調も回復し、人生で成し遂げたいと思うことがあることに気が付いたんです。

 

 「人生で成し遂げたいと思うこと」。それは、ずばりどんなことですか?

 それは中国で出版されている書籍を翻訳し、日本に紹介することです。
 そのためには仕事の相性を考えなければなりませんでした。つまり時間を有効活用でき、時間をうまく組み合わせられるような仕事を考えた時、翻訳会社から産業翻訳を受注するこの生活のままでは、何も変わらないと考えるようになりました。産業翻訳をしながら、文芸翻訳のトレーニングをすることは私には難しいと思い、文芸翻訳をするために(組み合わせの良い)仕事を探さなければならない、するならば何ができるだろうと考える日々を過ごしていました。ちょうどその頃、オンラインセミナーができるZoomの波に乗ることができ、「オンラインレッスンなら!」という考えが浮かびました。

 

 オンラインシステムのZoomがなければ、中国語発音矯正講師の道は開かれなかった…、かもしれませんね。

 本当にそうですね。Zoomと光回線が当たり前になったこの時代のお陰で、オンライン中国語講師の道につながったと思います。それまでにオンラインツールとしてSkypeもあったようですが、その頃私はアンテナを張っていなかった時期だったため、その情報をキャッチできませんでした。またZoomほど画像や音声もクリアでなく、使いづらかったというのが正直な感想です。

 

 私も以前、オンラインレッスンとしてSkypeを使い面と向かって授業を受けたことがありました。確かに便利ではありましたが、音にずれがあったり、日本と中国ではスムーズにいかなかったりと、確かにストレスがありました。
 りんず中国語ラボのオンライン中国語発音矯正レッスンはどのような様子でしょうか?

 レッスンはみっちりコース、月2回コース、月1回コースがあります。
 受講生さんの大半はフルタイム勤務をされている方々で、他の受講生さんも週に何日か出勤されている方です。お忙しい方がほとんどで、そういう方でも負担がなく、かつモチベーションも維持でき、次のレッスンまでの退行も防げるようにプログラムを設計しています。
 先月「みっちりコース」を卒業された小松京子さんは、フルタイムで学習できるという、私にとって初めてのタイプの生徒さんでした。小松さんにはレッスンの回数を増やす、あるいは別のプログラムを作成するなど、小松さんの学習スタイルに合わせた色々な方法があったと思うのですが、私のレッスンのキャパシティがこれ以上なく、既存の枠の中で受講していただくしかない状況でした。そのためレッスンでは、毎日の自己学習でやることと区別をつけ、既存のプログラムの中でより効果を得られる方法を考えるなど、いろいろ工夫を重ねました。小松さんも毎日音読音源を提出され、努力を積み重ねられ、発音矯正の階段を一歩ずつ上がられ、無事卒業されました。

 

 実はお恥ずかしながら私も中国語講師を目指し、専攻として学習していた時期がありました。その中で、ノンネイティブが発音講師をするという壁は、私は超えられませんでした。その努力と苦労を知るだけに、尊敬の念に堪えません。

 発音講師になることに、実は私はあまりハードルを感じていないんです。私の知っていることをお伝えすると、必ずお役に立てると信じているからです。
 というのも、まず発音チェックを行う際に、何に重点を置いてチェックすればよいのかを把握していることが大きいと思います。さらにどのように働きかければ、受講生さんの発音が変わるかということも把握しています。発音に悩める受講生さんは、単純に発音に関しての知識がないだけだと思っています。

 

 私は綾さんは「音が見える方」と思っているだけに知識以外にも、音の弁別力も非常に高いと思っていますが、そう言われることはありませんか?

 私の耳がとりわけ良いのか、それとも発音の知識があるため聞き取れるのかを、これから発音を教えたいという講師の方々に知識を伝えながら、確認していきたいと思っています。

 

 綾さんご自身は、どちらだと思われますか?

 おそらく知識だと思います。音声学を大学で学んだわけではありませんが、本から知識を得て、その知識をもって多くの音声サンプルを聞いていれば、それぞれの言語で通じる発音として許容される音の範囲が分かるからです。

 

 知識があれば、みなさん弁別力を身に着けられると思われますか? この質問はそうだといいなという強い、強い思いを込めてですが(笑)

 私はそうだと信じています。
 仮に私より中国語が上手な受講生さんが、私のレッスンを受講してくださったとしても、「知識+弁別力」で、その方に発音矯正をしてさしあげられると思っています。実際受講生さんで、通訳学校の本科に通われている方がいらっしゃいます。通訳についてなら、私よりもその受講生さんの方が現場対応力、語彙力等上級レベルだと思いますが、私は発音ではお役に立てるという自負があります。
 ただ、私自身の発音について、私もまだ満足しているわけではありません。そのため練習を続けていきたいと思っています。

 

 どれだけ優秀な先生でも100点満点の方はいらっしゃらず、これだけは負けないと思えるものがあるのは大変素晴らしいと思います。特に綾さんは発音のプロフェッショナルとして実績も多く残されており、発音でつまずいている私には、憧れでもあります。

 ありがとうございます。とは言うものの、2017年に初めてモニターさんに発音矯正をするにあたり、やはり正直怖かったです。非ネイティブの日本人が中国語発音講師を名乗っていいものなのか? 私の発音をみなさん褒めてはくださいますが、そもそも本当に良いのかどうかという確信が持てず、「お墨付き」が欲しいと思いました。

 

 そのために、どのような行動を起こされましたか?

 東京豊島区に、発音矯正について天才的な能力を発揮されるという先生がいらっしゃいます。大阪から毎週飛行機で通われる生徒さんがいらっしゃったり、ご自分が未習得の言語について発音矯正の要望依頼があったとしても「3ヵ月待ってください」とおっしゃった後、本当に3ヵ月でその言語を習得され、発音矯正をされたりするような方だそうです。

 

 そんな天才的な方がいらっしゃるのですね。綾さんもその先生の授業を受講されたのですか?

 私もぜひご教授いただこうとコンタクトを取り、サンプル音声をお送りしたのですが、その先生は中国語講師志望の人を生徒に取らないというポリシーをお持ちなので、教えていただくことはできませんでした。
 ただ「あなたの音声を聞いたところ、非ネイティブとしては大変キレイな発音です。自信をもって講師を務めてください」とのお言葉を頂戴しました。お会いしたことのない先生のお言葉でしたので、お世辞ではないだろうか、気休めではないだろうか、という不安が残りましたが、たまたまその先生の受講者さん3名からお話を聞くことができたんです。

 

 その受講者さんたちの反応はいかがでしたか?

 みなさん口を揃えて「お世辞を言ったり、おべっかを言ったりできない先生ですので、そのお言葉を信頼されるといいと思います。そのお言葉は最大級の賛辞だと思います」と励ましていただきました。「私でいいのだろうか?」という心のブロックは、ここで一旦外すことができました。

 

(第3部につづく)

 

情熱中国(8-1)【井田綾さん・中国語発音矯正、中国語発音指導法講師】 

 


 

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