本日は新企画として、
中国、中国語に関わる魅力溢れる方を(一方的に)調査、あるいは取材やインタビュー形式で、
ご紹介していきたいと思う。題して「情熱中国」。
(※決してパクリなどはしておりません。もとが良いので、敬意を表し、少々拝借しているだけです。)
記念すべき第一回は日中国際結婚をされ、山東省出身のご主人と、娘さん息子さんと
上海で暮らされる「axin@上海」さん。
彼女のツイッターは“芸術品”ではないかと思うほど、140文字と言う限られた枠の中で、
今の中国を伝える。特にご自身が「上海ほじくり」とおっしゃっている上海を伝える
ツイートは、その芸術性がさらに輝きを増す。
例えば先日の「里弄(=昔の集合住宅)」についてのツイート。
ご縁があってとご謙遜されているが、“他人”には甲羅が非常に硬い上海人。
普通ならば、“本丸”である家の中は他人には絶対に見せたりはしない。
まさに「axin@上海」さんだからこそ、成せた技である。
今日も今日とて上海街並み散歩。開発の波に取り残されたように残る里弄(昔の集合住宅)を歩く。ご縁あって中を見せて貰う機会にも恵まれた。普段外から指をくわえて見ている建物の中に入る機会があるなんて感激。もっと中国語、上海語を学んで上海を深掘りしたい。 pic.twitter.com/2H35lvo6RM
— axin@上海 (@axin_sh) 2019年3月26日
さらに、探究心の強さが垣間見られるツイート。
値段が高い名ばかりのガイドブックよりも、非常に多くの知識を分かりやすく説明してくれる。
また所々にご自身の所感も散りばめられており、思わず「確かに!」「なるほど!」と
唸ってしまう。
現存する上海最古の石庫門へ。1876年頃築。早期石庫門の特徴の1つとして、門上部に石の彫刻があるという。ここの石庫門の多くは鉄柵が施されたり、ドアに交換されていた。たった一件、石庫門上部に彫刻があるお宅を発見。彫刻はペンキで塗りこめられていたけど。完成直後は全ての門にあったのだろう pic.twitter.com/QZC8ezyYT1
— axin@上海 (@axin_sh) 2019年4月4日
かつて多くの日本人が暮らした上海・虹口にて、1930年代に建てられた銀行職員宿舎の中を見る機会に恵まれた。バス、キッチン共有。帰宅後調べたら、この建物は一時期日本のホテル「東和洋行ホテル」だったこともあるそうで。もしかしてこのお風呂に日本人が浸かったの?!と妄想が広がった。 pic.twitter.com/Lfn8cdOtLe
— axin@上海 (@axin_sh) 2019年3月16日
これだけ中身の濃いツイート。
フォロワー数が4351名(2019年4月10日20時現在)と、非常に多いことも頷ける。
また最近再開されたブログ。
ツイッターがガイドブックであれば、こちら「老同志は中国人 in上海」のブログは教科書。
中国での役立つさまざまな情報が、所狭しと記載されている。例えば
まさに知りたい方には喉から手が出るほど欲しい、しかし何をどこに尋ねればいいのかが
なかなか分からないような情報を、的確に面白おかしく、時には心を揺さぶられるような文章で
お書きになっている。
私は書籍やブログなど、個人の意見を発信するものは“アナログラジオ”だと思っている。
記事の内容は“周波数”があり、その周波数を受け手(=読者)がキャッチできなければ、
その記事がいくら価値のある内容であっても、途端におもしろくもなく、心に響かない
ものになってしまう(可能性がある)。
誤解なく伝えられるとすれば、「中国」に関するトピックはどちらかと言えば周波数が
合わせづらい、つまり万人受けしづらい分類に入るだろう。
少しオーバーに言うと、時として受け手には「雑音」に聞こえてしまうのも事実である。
専門性や独自性が高ければ高い程、それは逆に負のパワーになってしまう危険性も伴う。
それでも果敢に発信しつづける「axin@上海」さんは、本当に心に強い方であり、
「伝えたい」という情熱が溢れる方なのだ。
それではその溢れる情熱を感じ取っていただくためにも、「axin@上海」さんへの
インタビューをぜひ、ご覧いただきたいと思う。
インタビューにご参加いただき、ありがとうございます。
早速ですが、まず国際結婚して良かったことはなんですか?
日本人との結婚では経験することができないこと、知る事のできないことをたくさん知れました!夫には発見と驚きがたくさんの刺激的な毎日をありがとう、と話しています。特に義実家が絡むと己のこれまでの価値観はなんだった!?というようなグラグラ心を揺さぶられるような体験を得られますよ。あとはお金、仕事、持ち家に関しても。好奇心のカタマリの私にはこんな面白いことはないんです。私は日中ギャップに気づくと「へーっ!ここ日本/日本人と違う。なんでだろう?」と興味をもって考察しています。夫にも質問攻めです。
そうですよね。私も日本の方と結婚していたら、絶対に経験できなかっただろうなと思うことが日々起こります。
次に中国での子育てについてのご感想を、お聞かせいただけますか?
赤ちゃんから幼児期までは特に外で知らない人から可愛がってもらったり、電車やバスなどではさっと席を譲ってもらえたりが多いです。お店のランクにもよりますが、外食時に子供が騒いでも基本的に寛容ですし、お店の人から子供を可愛がってもらえることもあって子連れ外出も気分が楽です。その延長線上で少しでも寒そうな格好(赤ちゃんに靴下や帽子を忘れたりすると)をしていると注意されますが^^;私の子供はみんなの子供!みたいな、大げさに言うと「社会で子育てしてくれている」んだな~と実感します。
その後、子供が現地校小学校に入りますと、毎日の宿題や定期テストのフォローで親子共に大変疲弊します。笑 手に負えないと感じたら、早めに宿題を見てくれるアウトソーシング先を探しておくことを強くお勧めします。
私も子育ては「社会全体で見守ってくれている」とよく思います。そういう意味では日本のママさんたちは、本当に大変だと思います。
中国学生の宿題については、親にとっても地獄だと周りからもよく伺います。数年すればその道を歩むので、アドバイス通り早めの対策を取ることにしますね。
それでは、中国で一番大変だったことはどんなことでしたか?
義実家の男の子への執着!夫の故郷は保守的な土地柄で、特に男の子を産んで一人前、という価値観が強いです。私たち夫婦は高度不妊治療でやっと娘を授かったので・・・。正直これだけで青色吐息だったので、2人目を急かす義実家に当惑。そして当初私は義実家が男の子を切望していたことに全く気づかなかった(普通に義父母は娘も愛情いっぱいかわいがっていたので)ので、それを知った時はまさにガガーーンでした。「もう一生娘連れて帰省してやるもんか」とどす黒く考えたこともありましたが、それはできず・・・。。
中国人あるあるの、義父母に意見ができない夫ですし、私ももう1人子供が産める希望がまだあるなら、と数年に渡り日本と中国を行き来して高度不妊治療、中国在住時も婦人科や漢方に通いました。私自身は男の子であることへのこだわりはなかったのですが、2人目の子が男の子だと判明したときは、ほんとうに漫画みたいに膝の力がヘナヘナと抜け、帰宅後もかなりの時間ボーっとしていました。ずっとずっと大きなプレッシャーだったんですね。 娘が1歳の時に不妊治療を再開し、息子が産まれた時娘は7歳。長かった!このような経緯があるので義実家に家族で帰るときはちょっと大きな顔しています。笑
それは大変でしたね。確かに男女出生比率を見ても顕著ですよね(2010年の中国の新生児男女比率は118.08対100)。
息子さんもすくすく育ってらっしゃることですし、これから中国で新たにあるいは、継続して挑戦されたいことはどんなことですか?
3つ目のご質問でお話しましたが、息子が産まれるまで不妊治療が我が家の最優先事項であったため、中国国内旅行がほぼできていないんです。一番多く行ったのは夫の故郷ですよ。笑 なのでこれからは中国旅行をたくさんして、いろんな中国の景色を見たり体感したりしたいです。上海ほじくりを別の街でもやってみたいけれど、これは老後などにどこかの都市にロングステイしたらできるかな、とか楽しく妄想しています。夢は中国全省を回ること!
これからもSNSで中国を軸にした発信は続けていきます。今回ブログを再開する気持ちになったのちゃーちゃんさんのおかげ!感謝しています。
ありがとうございます。大変恐縮です。本当に私は何もしていませんよ。きっとブログ再開の気持ちが高まったタイミングと重なったのだと思います。でもそのようにおっしゃっていただけて、とても嬉しく思います。
では「axin@上海」さんの中で、中国とはズバリどんな存在ですか?
1つ目の質問でお話したことと重なりますが、日本にいたままでは経験できなかったことを経験させてくれ、知らなかったことを教えてくれる存在です。なんてったってこんな広大なスケールの国土でたくさんの人口の国。知っても知っても知り足りない。上海ほじくりだけでもほじってもほじってもほじくりきれない。することが沢山ですね。もっと知りたいがための中国語の勉強にも精が出る。興味のままに、とことん突き詰めていこうと思っています。
もちろん生活している上でいいことばかりではないですが、私は人生のどんな経験も無駄なことはない、つらい経験もその人の人生の厚みを増して糧になる、と考えているので、トラブルに遭った後ひと落ち着きしたら、「あ、今私の経験値あがったー」と内心にやっとしています。
経験値、確かにそうですよね。渦中にいる時は「きっと人生の“ラスボス”だな!」と思うほどの大変なことも、振り返るとなんでもなかったり。でもそう思える事って、きっと経験値が上がっている証拠なんだと思います。
大変名残惜しいですが、最後にみなさんに向けて一言お願いできますか?
このたびはちゃーちゃんさんのブログの新企画、しかも栄えある第一号に呼んでいただきありがとうございました。普段何かを紹介している私が紹介されることはあまりない為、とっても新鮮で楽しい経験でした!
中国人と結婚、中国在住、日本を離れて8年超ともなる私には中国は「近くて近い国」ですが、多くの日本人にとってまだ中国は「近くて遠い国」。昨今の「中国スゲー論」でちょっと評価の流れは変わった感がありますが、一時帰国して日本人の方と話すと、まだ認識のギャップを感じるときもあります。中国の一生活者である私が見た・感じた中国を知ってもらいたい、そんな思いで中国の話題を発信しています。
ツイッターは反応がリアルタイムで、自分の中で当たり前に感じていたことが思いがけない反響を呼ぶのを見ると、発信する側にとっても勉強になる事が多いです。これからもツイッターやブログでどんどん「そのまんま」の中国を発信していきたいと思います。私の発信する情報を見て、「こんな人も中国で元気に生きているんだな、自分もがんばろう」、と思っていただいたらそれこそ私の思うツボです。笑
ちゃーちゃんさんのひたむきに中国語を学ぶ姿を尊敬しています。お互い、これからも中国の理解を深める助けとなる情報を発信していきましょう!
そうですね、共に発信していきましょう!
本日は誠にありがとうございました。
「axin@上海」さんのご回答をお伺いしながら、私もこの中国で起こった出来事が
走馬灯のように駆け巡った。
また、それらの経験からの心得を「axin@上海」さんのように、少しでも発信し、
情報を求めていらっしゃる方の、何かのお役に立てるように精進したい。
そんなことを改めて考えさせられる、インタビューであった。
今回が初めての企画だったため、おそらくつかみどころがなく「axin@上海」さんには
ご苦労をお掛けしたにも関わらず、快くご協力くださったことに心より感謝を申し上げたい。
またお勉強がお忙しい娘さん、まだまだ手のかかる息子さんを抱えながら、
さらには家事、ご自身の活動もされ、そんな中でお時間をうまくご調整いただき、
このような素晴らしいご回答をいただけたことに、
尊敬の念を抱かずにはいられない。
きっとこれからも、「axin@上海」さんは有益な情報を届けてくださるに違いない。
その思いが今回のインタビューを通して、より強く感じられた。
今後も中国(あるいは中国関連)で奮闘される方を取材、あるいはインタビューをし、「人と人」「人と情報」をつなげたいという理念のもと、有益な情報を皆さんにも共有していただけるような、そんな企画になればと思っております。
ある日突然、インタビュー依頼のご連絡が届いた方には、ぜひ今お持ちの専門性、独自性、影響力等の非常に価値のある情報やご経験、熱い思いを、存分にお伝えいただければと存じます。また逆に中国、あるいは中国語で「こんなことを知ってほしい、こんなことを伝えたい」という情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひご一報いただければ、取材やインタビューをさせていただきたいと思います。
これからもこの企画をはじめ、ブログをご愛読いただければ幸いです。