ちゃーちゃん@中国瀋陽

オンライン中国語講師|中国語ネイティブの発音と、より楽しく学べる方法を模索中|漫才や“脱口秀”など、面白い事(言葉遊び)が大好きな関西人

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新元号「令和」を、中国商標から見る

本日、新元号が「令和(れいわ)」と、菅官房長官から発表された。

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 菅官房長官は「さきほど閣議元号を改める政令、および、元号の呼び方が閣議決定された。新しい元号は令和であります」と述べ、書を掲げて、平成に代わる新しい元号を「令和」に決定したと発表しました。

 そのうえで、「令和」の典拠、いわゆる出典について「『令和』は『万葉集』の梅花の歌、三十二首の序文にある『初春の令月(れいげつ)にして、気淑く(きよ)風和らぎ(やわらぎ)、梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披き(ひらき)、蘭(らん)は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かお)らす』から引用したものだ」と述べました。

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190401/k10011868721000.html?utm_int=all_side_ranking-social_001

 

私は新元号の発表を、少し違う目で見ていた。

というのは、現在中国でもだんだんと個人情報の厳守や、知的財産を重視するように

なってきており、日本の新元号を中国で商標登録したあと、売買し一獲千金を狙ったり、

フリーライド(=他社が築き上げた信用と名声に便乗して利益を得ようとする行為。

有名ブランド名をまねた店舗名をつけるなど。)を目論んでいる企業や人が必ずいるため、

元号によっては、国際問題になりかねない可能性もあると考えていたからだ。

 

「漏えい防止のため」にと、ごくごく一部の人物しか新元号を知り得なかったとしても

商標の不正登録を防止するために、国家レベルで各国の商標登録に動いているのでは、

特に漢字という共通の文化を持つ中国に置いては、非常に注意深く登録手続きを

進めているであろう(あってほしい)、と思っていた。

 

そして本日、日本時間11時40分過ぎに「令和」と発表されたのを受け、早速調べてみた。

ちなみに中国の商標も「国家知识产权局商标局 中国商标网 http://sbj.saic.gov.cn/」があり、

そこから簡単に調査することができる。

(調べ方の案内はこちらのサイトから https://www.globalipdb.inpit.go.jp/etc/16145/

 

結果は…。

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なんと! 

2017年11月16日に申請され、2018年10月21日に登録されている。

しかも登録人は個人とあり、さらに「清酒(日本米酒)」を含む商品に対してである。

(※とても簡単にさわりの部分だけお話しすると、商標登録は「カテゴリー、あるいは

分類」別での登録になるため、例えば同じ商標でもあっても、申請するカテゴリーが

違えば登録できる。例えば『クラウン CROWN』。自動車と英語辞書は同じクラウンでも、

カテゴリーが異なるため、登録ができる。)

 

おそらくこの登録者の劉氏は、古典文学に対する一定の知識をお持ちだったのではと思われる。

またこの検索サイトからは、この商標1件しか調べられなかったため、登録者の劉さん、

あるいは「令和」という商標は、これから非常に注目を浴びる可能性がある。

(申請からサイト公表まで、一定時間のタイムラグあり)

 

少し商標法について述べれば、適応範囲は基本的には申請国のみである。

(「基本的」と書いたのは、国際条約の絡みがあるため)

そのため日本政府も日本国内の商標登録とは異なり、そこまで神経質にはならないのかも

知れない。そのため明治以降の元号である「明治」「大正」「昭和」「平成」の

商標登録があるかどうかを調べてみると、いずれも商標登録されていた。

 

しかし以前の元号が登録できた“あの日”と、現在は中国の知的財産を取り巻く環境、

国際関係における影響力等が全く異なるため、これから中国で「令和」という商標が

分類の異なる商品上において登録されるかを、見守り続けたいと思う。

同時に、商標登録されすでに「令和」という商標専用権を取得している劉さんの

今後の動きにも、注目していきたいと思う。