ちゃーちゃん@中国瀋陽

オンライン中国語講師|中国語ネイティブの発音と、より楽しく学べる方法を模索中|漫才や“脱口秀”など、面白い事(言葉遊び)が大好きな関西人

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「中国語の発音の話をする会」無事終了 ~中国語発音を少しでも上手くするには~

以前告知をしていた「中国語の発音の話をする会」。本日、無事終了した。

 

座談会はマニアックなお話しも飛び出し(と言うよりは、ほとんどがマニアック)、

さらには中国とだけではなく、英語との比較もお伺いでき、

日本語⇔中国語⇔英語、という3言語から考慮した討論がなされ、非常に有意義で興味深く

知的興奮を呼び起こすものだった。「メモを取るところが満載」の会と言っても、

過言ではなかった。

 

3言語の共通として、「“人類の進化”と共に発音も変わってきている」ことにも触れられ

(“人類の進化”と言えども、ここ400年ぐらい前から、近いものになると30年ぐらい前の

話なので「“ ”」のマーク付き)

人類の顔の輪郭の変化が先か、発音の変化が先か、とにかく北京原人に比べると、

現代人は宇宙人のように、顎がシャープになりつつあるという話にまで至った。

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座談会の結論から言うと、下記の3点についてが主な内容である。

  1. 声調の正確性
  2. 母音の重要性
  3. 腹式呼吸で発声する

 

声調の正確性

 中国語は声調、あるいは四声と呼ばれる「意味を区別するための音節ごとの音の高低・

上がり下がり」がある。

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話が脱線するが私個人的には、三声は「低く抑える(そして上がらない)」という方が、

ノンネイティブにはイメージしやすい気がしている。そのため岡本悠馬さんが

おっしゃていた「そごうのマーク」の書き表し方の方が、結構しっくりくる。

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ちなみに音声学で言えば、音程の違いを用いるのが日本語である。

具体的には「はし」も「橋」「箸」「端」は、全て異なる音程を持つ。

そして基本「音」は全て四分音符で発声される。

日本語は音程の違いを用いる言語ではあるが、一つずつの音節、たとえば「あ」に

“基本的”には、音の高低はない。

(基本的と書いたわけは、関西弁では結構存在する。https://togetter.com/li/1227684

 

それに比べ中国語は一つの音節に、音の高低があるので(それらをもちあわせいない

日本語スピーカーからすれば)難しい。

maという音でも、mā(妈=母)、má(麻=麻)、mǎ(马=馬)、mà(骂=罵る)と

全く違う意味になる。

 

思わず力んで発音すると四声になってしまったり、二声と三声が混合してしまうことは

時としてあり得る話だが、なぜか全て四声になってしまう方も少なくない。

中国語の「核」という部分でもあるだけに、この間違いは徹底的に直していきたい。

私自身も二声、三声があやふやなことがあるので、これを機に、もう一度見直そうと思う。

 

母音の重要性

興味深いエピソードがある。

私が「この方の中国語上手じゃない?中国人だと言っても通じるのでは?」と、

完全ノンネイティブの発音を、中国語ネイティブである主人に聞いてもらったことがある。

主人の反応は「上手だし、一般の日本人の発音からは群を抜いているけれど、すぐに

外国人(ノンネイティブ)だと分かるよ」とのこと。

 

その原因は、母音の発音にあるようだ。

 

日本語の母音は「あいうえお」の5つに対し、中国語は複母音も含めると「a、ai、ang」など

合計24種類ある。つまり日本語でカバーできない音も存在するわけだ。

(音節表はこちらからご覧いただけます。)

 

 

中国語の発音指導においても、z,c,sやzh,ch,sh,rなど、子音に多くの注目が集まるのに対し、

母音については疎かにされがちである。

もっと厳しい言い方をすれば、触れることもしない講師もたくさんいる。

 

※少しマニアックな話(「音声学」という学問のお話し)になるので、退屈に思われる方は、読み飛ばしていただけると幸いです。

 

参加者の一人がベトナムの日本人学習者に「その『あ』は、どの『あ』ですか?」と言われ、

答えに困ったとの話があった。

確かに私たち日本人の多くは「あ」と発音するときに、わざわざ舌の位置、口の形など

気にして発音しないし、あくまでも「あ」の音は「あ」以上でも以下でもない。

しかし音声学では日本語で「あ」と書き表されるであろう発音は、実はいくつかある。

 

もっと日本語スピーカーになじみ深い例をあげると、「案外の『ん』」と「案内の『ん』」は、

舌の位置も鼻への響き方も異なることが、注意深く発音してみると分かる。

中国語の発音練習の時「日本語には/n/ /ng/の区別がないので、日本人留学生は

inとingの区別が苦手だ」などと言われることがあるが、日本語の中にも実はきちんとあるのだ。

 

それらを可視化できるものが、国際音声記号IPA、中国語では国际音标)と言われるものだ。

下記の図は口の中を横から見た形になっており、口の中のどのあたりで発音するかを

示しているものである。

例えば日本語で表記するとすれば「あ」になるであろう音。しかし音声学では

/a/ と /α/ は発音する際の舌の位置が異なる。

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中国語も同じことで、anとangは同じaというピンインで書き表しているが、

国際音声表記ではan[an]とang[ɑŋ]と、舌の位置が違うことを説明している。

余談だが、中国語には5種類のaの音が存在する。

 

(中国語と国際音声表記の対比表は、こちらからダウンロードできます。また日本語との対比表は、こちらの左メニュー「2. Standard hiragana」からごらんいただけます。)

 

話しを戻そう。

子音も音を作る一部としては、もちろん非常に大切ではあるが、それと同じぐらい

母音に対しても気を配れたならば、グッと中国語らしい発音になるのは間違いない。

 

腹式呼吸で発音する

日本語は「か(k+a)」と言うように、「ん」を除くすべての仮名が子音と母音の

組み合わせによって成り立っている。

その関係もあって腹式呼吸をしなくても、極端に言えば口先だけでも話しができる言語である。

 

そのため日本人が中国語を話す時、その話し方で発音してしまう場合が多い。

 

しかし中国語は英語のように、息を多く使う言語のひとつである。

(ちなみに英語は日本語の6倍息を使う言語、と言われている)

中国語も/h/のような、喉から息を出すような音。/t/ /ch/など有気音も多い。

息を多く出そうとすれば、自然とお腹の底から、つまり腹式呼吸で話す必要がある。

 

少し話はまた逸れるが、今回英語の発音矯正講師をされていらっしゃる方が参加されていた。

彼女曰く、「英語を話すようになってから声が低くなりました」とのこと。

これは口先だけで話しているのではなく、腹式呼吸をきちんと用いて発音している証でもある。

以前聞いた興味深い話しとして「英語⇔日本語」通訳の方で、英語を話す時は

なんともないが、日本語を多く話すと喉が枯れてしまう、という方もいるそうだ。

言語によって、息の使い方や腹式呼吸を使うかどうかなどが、垣間見れるエピソードである。

 

つまり(日本語と比べると)息を多く使う中国語であることを考えると、自然と呼吸法が

異なることが分かる。

 

さらにせっかくなので、もう一つ余談を話しておきたい。

日本語は顔の筋肉の2割程度の使用で、話ができるらしい。しかし英語は5割、

ドイツ語になると8割必要と言われている。

中国語のデータはあいにく持ち合わせていないが、日本語よりはるかに大きい値であると

思われる。ここから読み解けることは、中国語の音がうまく出せないのは、顔の筋肉、

つまり口の形の変化が、中国語対応になっていないためというのも、理由の一つである。

幸い筋肉は鍛えることができるため、中国語の発音練習を繰り返していれば、

口の形の変化も、それに応じてなめらかになってくる。

 


 

 座談会は約1時間半。

上記のような内容が、笑いあり、不思議発見ありで討論された。

 

参加者の「『人は見た目が9割』と言う書籍のように、『言語は発音が9割』」と

おっしゃった言葉が印象的だった。

話す内容はもちろん重要だが、発音が悪く何を言っているか分からないでは話にならない。

(あのノーベル賞候補のリストにも名前が挙がった、細菌学者である野口英雄氏。

学会の論文発表のプレゼンで英語の発音が悪く、論文内容を検討される前に選考から

漏れたという経験から、発音の猛特訓をしたというエピソードが残っている)

 

中国で生活をしている私。何か討論をしようとしても、まずは話を聞いてもらえなければ、

何の意味もない。

練習を積み重ねてもネイティブ発音になるには、まだまだ隔たりがある。

しかしやはり中国語学習者として、懸命に矯正に取り組むことを、少しでもキレイな

発音ができるように、取り組みたいと思ってならない。

 

その方法として、コツコツと発音練習をする以外にも、先日のブログでも記載したが、

ピンインのディクテーションを行うことを、今でも続けている。

ディクテーションは時間がかかる上に、心が折れそうになる勉強法の一つでもある。

それでも続けているのは、その効果を実感しているからであろう。

 

 

最近、更に忙しくなってきた。

今日の座談会に参加して、次回第2回目、第3回目と今度は主催者として開催した際、

胸を張って、参加できるようにしておきたい。

そのために毎日少しずつでも、音読とディクテーションを続けようと決意ができた

そんな素晴らしい内容の座談会だった。

 


 

 本日お忙しい中ご参加いただきました5名の方々には、心より御礼申し上げます。またスムーズな司会進行、当日までの運営を快く引き受け、実行してくださった温子さん(https://twitter.com/Acchi0321)、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。

 温子さんもご自身のブログで、本日の座談会を記事にされていらっしゃいます。そちらもどうぞ併せて、ご覧いただければと存じます。

nanatsukotoba.com

 

 またこちらの座談会は予約時からご好評をいただき、たくさんのお問合せを頂きました。中には「日程が合わず、今回は残念ながら見送ります」というご連絡も、何名からも頂戴いたしました。

 このような中国語の発音について話せる場は、あまり設けられていないこともあり、さらに今日お話しさせていただいたことの他にも、発音についてまだまだお伝えしたいことがあります。その場から劇的に発音が変わる方法も、いくつかあります。そのためこちらの座談会を継続していきたいと考えております。

 特に座談会の要点でもある「3.腹式呼吸で発声する」については、腹式呼吸と馴染みのある言葉を使って書きましたが、この重要性を頭でわかっていたとしても、それをいかに音に変えていくかを現在、さらに研究中です。私自身が腹式呼吸と音の作り方を結び付けてお話しできれば、もっとネイティブの“中国語らしく”発音ができると思います。そのためもう少し内容を詰めてから次回を開催したいと考えております。少し期間が開いてしまいますが、日程などが決まり次第、こちらのブログでお知らせいたしますので、今しばらくお時間をいただければ幸いです。

 今回の私のブログ、ご参加の方々のブログでご興味をお持ちいただいた方、これから中国語を始めたい、発音に悩んでいるなど、もっと中国語がうまくなりたいと思われていらっしゃる方のご参加を、心よりお待ち申し上げます。