中国瀋陽、現在5時半の気温は-8℃。今年の冬は本当に暖かい。
瀋陽は亜寒帯冬季少雨気候だが、春夏秋冬、季節は存在する。
しかし「夏と冬に比べて春と秋は2週間」と言われるように、寒いと思っていたら
すぐに暑くなり、暑いと思っていたらすぐに寒くなるような、そんな気候である。
※本文に「-23℃未満または32℃を越えることは滅多にありません」とあるが、去年の夏は2週間程40度近かった(笑)これも地球温暖化の影響だろう、か…。
瀋陽をはじめとする東北地方は、暖气と呼ばれる床暖房が入る季節になると、
野外でのイベント事は寒すぎて、(ほぼ)執り行うことができない。
結婚式もそのひとつである。
瀋陽の結婚式の主なスタイルは、ブライドメイド、新婦側の親戚や親しい友人たちが
まず新婦の実家に集合し、新郎のお迎えを待つ。
新郎の到着後、新婦のご両親に二人で挨拶をしたり、麺を食べさせ合ったりする。
そして新郎新婦、両家のご両親と一緒に親せき、親しい友人などが新居まで移動し、
二人の愛の巣を拝見。そして結婚式場へ、という流れである。
結婚式の模様は、先日のブログでご紹介した。
日本もバブル期は超豪華な結婚式が執り行われたが、招待客600名というスケールは
やはり「圧巻」という言葉がぴったりくる。
結婚式は意図はだんだん変わりつつあるものの、まだまだ“見てもらうため”のもの。
そのため友人や同僚、あるいは部下の結婚式に中国滞在経験者なら、お呼ばれしたことも
一度や二度ではないかもしれない。
しかし本当に趣があり中国文化を知るには、結婚式場に至るまでの「新婦の実家」
「新居」の部分も、ぜひご覧いただきたいと思う。
そして昨年の秋、なんと新居に入る儀式をたまたまカメラに収めることができた。
今日はその様子の一部を、ご紹介したいと思う。
まずこの場を借りてブログでの紹介を快諾してくださった新郎新婦に、心よりお礼を申し上げたい。
また前回の結婚式での記事でもお伝えしたように、地域や民族等で方法や習慣もことなるため、
一例としてご覧いただければと幸いである。
新郎新婦を迎える団地。マンホールの蓋は縁起の良い「赤色の紙」で封印。
石で抑えてあるのが、なんとも…。
ちなみに団地内の1周は約1.2㎞。50m程の感覚で設置されている1つ1つの蓋全てに、
赤い紙を置いている。
新居の1階エントランス。風船でかわいく彩られている。
そして新郎新婦を乗せた車が到着。
この装飾をしたまま、新郎の家から新婦の実家に立ち寄り、さらに新居、式場へ。
普通のスピードで道路を走るため、どれだけしっかり装飾が施されているか、
想像いただけるのではないだろうか。
新郎新婦の車を先頭に、後続車たち。キレイな車が並ぶ。
本当にすごい時は、同じ高級車メーカーの同じ車種が数十台。
今まで見た中で一番は、レクサスの最高級車38台が列をなして並んでいた。
そして車から新郎新婦が登場。祝福の歓声が至る所から溢れる。
中国でお祝いごとと言えば「爆竹」。右の男性が持っている赤い筒は、手動式爆竹。
ご両家そろっての記念撮影。
ここで注目していただきたいのが、お母様たちの衣装。
お祝いの意味を表す「赤色」。中国の方にとって、赤色は特別な意味を持つ。
この一連の儀式の模様をビデオで撮影。それがこちら。
(※新郎新婦の門出をビデオに残そうと、プロのカメラマンが入っていることから、この1分そこそこの行動を、なんと30分近くもかけ、少し撮ってはカットがかかり、何度も取り直ししています。そのため動画も、途切れ途切れの編集になっています。また始めは儀式の部分だけを編集したものの、儀式裏側もお伝えした方が、より臨場感が出るのではないかと思い直し、わざとこのような形で残させていただきました。そのため見づらい部分もあると思いますが、どうか寛大な心でご覧いただければ幸いです。)
また一番のクライマックスである、新婦が義父の胸にブートニアを着けようとしたとき
鳴った携帯電話に出てしまうあたり。そしてアングルのせいでもあるが、
ゴミ箱の前での撮影も、なんとも中国らしい。
要は「見た目」ばかりにこだわるのではなく、「中身(それ自体の内容、心)」が
何よりも大事という考えが、私は結構好きだったりする。
私もTPOをわきまえているつもりだが、その昔私は「見た目」ばかりにこだわり過ぎて、
本当に大切なものを見落としがちだったのではないか、と教えられたのが中国だった。
硬く重い固定観念という「鎧」を脱いだ時、今までの「なぜそんな風にするの?」と
自分の物差しでしか測れなかった他人の価値観が、スッと心に入ってきた気がした。
それまで受け入れられ、納得がいかずイライラしていた曇り空の日常に、ふと、
あたたかい日差しを感じた気がした。
暖冬と言っても、氷点下の瀋陽。
春の訪れは、結婚式やイベント事など「喜び」を運んできてくれる。
春節が過ぎると、ますます春の足音が近くなる。
東北地方の寒いこの地では、春という喜びの季節を、首を長くして待ち望んでいる。