ちゃーちゃん@中国瀋陽

オンライン中国語講師|中国語ネイティブの発音と、より楽しく学べる方法を模索中|漫才や“脱口秀”など、面白い事(言葉遊び)が大好きな関西人

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中国語音読サークル「玲瓏(りんろん)」に参加 ~『来生書 序詩』廖偉棠~

前回8月25日、中国語音読サークル「玲瓏(りんろん)」のスピンオフ企画である

唐詩朗読会」に参加。朗読に失敗し、この約半月間、不完全燃焼を起こしていた私。

大好きな中国語。

完璧にできるレベルでは決してないが、自分が思い描く目標点まで達しないと悔しい。

負けず嫌いな私。

誰にと言うのではなく、自分自身に一番負けたくないのだ。

 

唐詩音読会が終わってから、中国語ネイティブの朗読を聞くとともに、

ノンネイティブ、特に日本人で中国語がネイティブ並みのレベルの方々の朗読も

この半月間、ずっと聞いて研究していた。そのお一人である、岡本悠馬さん。

この素晴らしい朗読をどうぞ!

1回では足りず、何十回、もしかすれば3桁にも届くのではと言うほど拝聴した。

少しでも近づきたいと、何度も何度も繰り返し練習してみた。

 

岡本さんの朗読に併せ、ネイティブの朗読も通勤中、家事をしながらなど、

時間さえあれば誰かの朗読を聞き、できる限り自分の朗読を録音しては聞き比べた。

そのためか就寝前横になっても、誰かの朗読が聞こえているような気がした。

 

そんな毎日を繰り返していると、自分の中国語に迷いが出てきた。

本来「言葉は思いやパワーを伝えるもの」なのに、表面的な“音”にしか

聞こえなくなってしまったのである。

 

自分自身へのリベンジを果たすべく、懸命に準備をしていた音読会。

時は一日一日、一刻一刻と迫ってくるのに、朗読作品どころか、

自分の中国語もさえも、定まらなくなってきた。

 

そろそろ朗読作品も決めなければと、引き続き中国検索エンジン百度

「适合朗读的文章  经典(=朗読に適した文章 権威を持つ作品)」と検索していると

廖偉棠『来生書 序詩』に辿りついたのである。

《来生书》序诗——廖伟棠

 

如今,我只想静静的 躺在一个人的身边

任天上流云的影子  千年如一日的漂过我们的脸

 

我们爱过又忘记  像青草生长,钻过我们的指缝  

淹没我们的身体直到  它变成尘土、化石和星空

 

落叶沙沙,和我们说话  这就是远方春鸟鸣叫  

就是水流过世界上的家宅  人走过旧梦和废诗、落日和断桥

 

走过我们言语的的碎屑  我们用怨恨消磨掉的长夜

唱一些嘶哑走调的歌谣  笑一个再也不为谁回旋的笑

 

啊,平原正在扩大  一条路在遗忘的地图上延伸

我在一夜又一夜的黑暗中化成风  化成烛火,烧着我们自己的虚空

 

不要再说那些陌生人的故事了  那只是蟋蟀在枕边啃噬

不要说前生、今生和日月的恒在  砂钟在翻转,翻转荒芜的灵台

 

候鸟在夕光中侧翼  一个季节就这样悲伤的来临

歌唱完了它又再唱一遍  世界消失了它也只能这样

 

然而我只想静静的  躺在一个人的身边

任天上流云的辉光  一日如千年的漂过我们的脸

 

この詩は特に、悲観的な心情を表すため、影子(=影)、尘土(=ほこり)、化石、

落叶(=落ち葉)、旧梦(=過去の経験)、落日(=夕日)、断桥(=壊れた橋)、

我们用怨恨消磨掉的长夜(=互いに憎しみで過ごした長い夜)

唱一些嘶哑走调的歌谣(=しゃがれ、音痴でも(気分を盛り上げるために)歌を歌う)

笑一个再也不为谁回旋的笑(=笑っても誰かが笑い返してくれることなどない)など

暗い影を落とす言葉が、至る所にちりばめられている。

また小説などと異なり、文ひとつひとつが独立的で、全体像が描きにくく、

作者の伝えたいことを、豊富な想像力と人生の経験から補う必要がある。

そのため翻訳はご容赦いただくとして、私が思う作者の伝えたいことを要約すると、

 

(この主人公はすでに亡くなり、愛する人と頭をそろえ墓地で横たわっている。あるいは病に伏せ死期が近く、愛する人のことを想い焦がれているかの状況。)

 この世で体験すべき、人生の憂いや怒り、悲しみなどの「負の感情」、しがらみや人間関係などでずっと心にしまい込み、抑え込んでいたやるせない思い。時間は流れていけども、世の中は同じような繰り返し、何も変わらないであろう未来。

 でも、「自分は自分だ!」と気づき、目覚め、己を解き放った今、来生へ蜘蛛の糸のような、かすかな希望の光を胸に秘めた。

 

真っ暗な大海に、遠く彼方からかすかに届いた灯台の光のように、

「自分は自分」と気づくさまが、自分の中国語に迷い、出口が見つからない自分に

ちょうど重なるような気がした。

 

正しい発音、ネイティブのようなしなやかな中国語を目指し、

努力を惜しまないのはもちろん、「自分の言葉、自分らしさ」を大切に思う気持ちは、

そのまま残しておいてもいいのではないか、

「言葉を発するのはあくまでも、私自身」と、ふと思えた瞬間があったのだ。

 

そう思えた後、今まで自分で作り上げていたプレッシャーが、スッと抜けていき、

息苦しさから解き放たれ、呼吸ができ、体の隅々まで空気が届いたような気がした。

 

「上辺だけを取り繕ったような、正確でキレイな中国語に縛られるだけではなく、

『言葉は力』を胸に、自分の言葉としても、きちんと表現できるようにしよう!」 

 

その新たな思いを胸に、朗読の練習を再開する。

また朗読好きの主人にアドバイスをもらうべく、一度聞いてもらうことにした。

耳を澄まし、しっかりと聞いたあと、「改善点」と言いながら立てた3本の指。

改善点

◆単語の意味は理解しているようだが、文の詳細と詩の全体のイメージがまだ定まっておらず作者の詩の世界を、うまく表現しきれていない。

◆抑揚がなく(日本語のような)平べったい中国語である。強弱、緩急をうまく使えておらず、シーンの盛り上がりや気持ちの高まりが、全く感じられない。

◆発音が日本人の域を脱しておらず、口の中でこもって聞こえるため、聞きづらい。一つ一つの音をもっと正確に、確実に真似ること。

「なるほど!」と納得のいく3点だった。

もう少し細かいアドバイスを聞きたいと思っていると、

主人は「ちょっと待ってて」と言い残し、近くのコンビニまでひと走り。

帰ってきたその手にはm&m'sのマーブルチョコレート。

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「朗読をするとき、このチョコを2,3個口に含んで練習すること。

舌や口の周りの筋肉を鍛えるために、噛んだり、吐きだしたりせず、発音すること」と

大きな宿題を言い残し、主人はそのまま泊りがけの出張へ。

 

詩と主人からヒントとアドバイスをもらい、新たな気持をひきさげ、

IPhoneのボイスメモに何度も、録音しては聞き、聞いては改善を繰り返した。

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自身でも気づいている間違った発音をしている箇所もあり、

まだまだお聞かせできるほどのレベルには、全くもって程遠いが

「とにかく踏み出す」「恥をかいた方が語学はうまくなる」

「語学上達のスピードは図々しさと、面の皮がどれだけ厚いかと正比例する」

と思っており、せっかくなのでUPしてみた。

※中国語学習者の皆さま、講師の皆さま、中国語ネイティブの皆さま

コメント欄やメールに、率直なご感想や改善点、アドバイスをお伝えいただければ

幸いです。どうかご遠慮なさらず、ちゃーちゃんの中国語向上に一役かってやろうと

ご協力いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

 


 

そして迎えた9月15日、本番当日。

音読会の詳細については、主催者である井田綾講師のブログに記載されているので、

そちらを、どうぞご覧いただきたい。 

 

私の番になり、緊張を静めるように深呼吸をした後、ノートに目を落とし朗読を開始。

思いのだけをぶつけた。

 

最後の一文を読み終え、小さく深呼吸。

中国語を始めて早十数年、今まで一度たりとも自分の中国語に満足したことがないが、

昨日は約半月に及ぶ前回音読会への自身へのリベンジ、朗読への意気込み、

中国語への熱い思い。そして駆け抜けた清々しさと、新たな目標を発見した喜び、

また違うスタートラインに立てた楽しみなどの感情が、体中を駆け巡っていた。

 

アラフォー。この年になって、これほどまでに夢中になれる中国語。

でも決して一人きりでは、高くて登れそうもない大きな、大きな山が立ちはだかる。

そんな山に一歩一歩、足を前に出せるようにと、伴走をしてくれるのがこの音読会。

いつも温かい朗読の場を提供してくださる講師お二人と、切磋琢磨できる仲間たち、

そして的確なアドバイスをくれる主人に、心から感謝の意を示したいと思う。

 


 

【お知らせ】

次回の中国語音読サークル「玲瓏(りんろん)」は、10月15日(月)開催とのこと。

朗読にまだまだ自信がない方、「そもそも中国語ってどんな感じ?」と言う方も、

オブザーバーとして、音読を聞ける席も設けてくださってあります。

もし機会があれば、一度他の学習者さんの朗読を聞かれるのはいかがでしょうか?

 

もちろん音読者として発表されるのも、とても素晴らしい経験になり、

国語学習へのモチベーション維持に、大きな力を発揮してくれると思います。

私自身、1回目に参加したときより、少し進歩できたのではと感じています。

 

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音読希望の方も、オブザーバー希望の方も、いつの日かこの音読会で、

皆さんにお会いできますことを心から楽しみに、今日もまた音読に励みます。