災害など、緊急事態でない断水を、今まで何度経験しただろうか?
生まれてこの方、日本では約25年ほど過ごしたが、断水があったかどうかさえ、
正直思い出せない程である。
中国、特にこの瀋陽に引っ越ししてきてから、断水をいったい何度経験しただろうか?
正直思い出せない程である。
上海や江南地域は、長江と温暖湿潤気候に恵まれ、水が豊富なのに比べ
特に北京以北の北方地域、この瀋陽は大陸性気候で降水量が少ないため
水不足に悩まされる。
また冬がとても厳しく、去年は平均温度がマイナス20度。
そのため道路下に埋めてある水道管も、よく破裂しては断水する。
断水にまだ慣れない頃、ひとたび断水になると不安になり、イライラしたものである。
しかし今となっては、蛇口をひねり水が出てこなければ
「あっ、断水か」と、まるで何もなかったかのように過ごせる。
人間、慣れとは怖いものだ。
普段は突然の断水が多く、前もっての通知はほぼない。
ただ、サービス向上中の中国。ここにきて事前告知がだんだん浸透し始めてきた。
一般的なツールはネット。「停水停電通知網」や「瀋陽本地宝」などが有名。
最近では「瀋陽本地宝」のWechatバージョンもあり、随分便利になった。
とはいえ、これらの情報が一番必要なのは、ネットを扱いなれていないご年配婦人。
そのため大がかりな断水は、マンションの出入り口に通知が張り出されたりする。
こちらが先月7月の断水通知
2018年7月3日(火)朝6時~7月4日(水)12時まで断水。
つまり30時間にも及ぶ。
通常はその日のうちに終わるので、今回はかなり大掛かりだ。
通知に、「大規模な工事で断水時間が長いため、再開した後も、
濁った水が出るであろうから、2日分の水を準備しておくこと」とある。
そして、絶対に正午12時に作業は終了しないであろうことは、
普段の経験から予想がつく。
2歳の我が子。周辺のレストランは同じように断水だし、
朝は食パン等簡単に済ますにしても、昼・夜合計4食分、遠出外食は厳しい。
さらに出前は衛生面、安全面がどうも気になる。
さて、2日間の食事をどうするか。
幸い瀋陽の7月上旬の気温は、25度前後。
メニューをきちんと考慮すれば、作り置きをして冷蔵庫に入れておいても
レンジで温めれば大丈夫。
前夜、簡易湯船いっぱいに水をため、台所回り以外の水の使用に備える。
台所回りの水は圧力鍋、料理鍋、土鍋、大皿、調理用ボウル・・・、総稼働!
若干の調理用鍋を残し、水を受けられるものすべてに水を張る。
ついでに、手作り冷凍餃子や肉まんを作って備え、
豚の角煮、煮込みスープも下ごしらえをし、明日朝一でもう一度火を通す準備も完了。
当日は朝4時前に起き、ご飯を炊きながらお弁当、親子丼や野菜炒め等、数品追加。
午前6時前、2日間の食事の準備も完成し、あとは断水の瞬間を待つばかり。
6時。
ためしに一度蛇口をひねってみる。
まだ水が出る。
「まぁ、まぁ、少しの時差はあるよね」と思いながら子供の寝顔を見に部屋へ。
7時過ぎ。
主人と子供が朝食を食べ終わる。好奇心から蛇口を再度ひねってみる。まだ出る。
「せっかくだから食器も洗っておこう!」と余裕の態度。
7時半。
トイレに行って流してみる。まだまだ大丈夫。
「まぁ、サービス員も出勤は8時ぐらいだろうからね」とまだ余裕。
8時過ぎ。
なんとなく蛇口をひねってみる。全然大丈夫。
「うーん、まぁいいか。出ることには困らないし」
主人の出勤を送りがてら、子供と一緒に外遊び&お買いもの。
11時過ぎ。
子供がお腹がすいたといい始めたので、帰宅することに。
近くの公園から、マンションの出入り口まできて、
そこで目に飛び込んできたもの、とは?
2018年7月4日(水)朝8時~7月5日(木)12時まで断水。
えぇ!!!
マジックで書き換えられてますけど!!!!!
ビックリはするものの「まぁ、あり得るかも」と思えてしまう私。
憤りではなく、「作り置きしたおかず、どうしようかなぁ。冷凍するか・・・」
と考えていた私。
これが中国で生きていく、ということだ!
次の日。
予告通り朝8時に断水し、これまた予測通りに「翌日5日12時」には終了せず
結局、夜7時過ぎに約35時間強に及ぶ断水が、やっと無事終了。
5日夜、普段よりは少し遅めの夕食を家族3人でとりながら、
「今回の断水、大変だったねぇ~」を
「明日何食べたい?」と同じテンションで話す私たち。
もう一度言おう。
これが中国で生きていく、ということだ!(笑)
断水は瀋陽では日常茶飯事で、この記事を書いている時も断水し
さらに昨日午後は停電までして、ブログネタが浮かんだにも関わらず執筆できずでした。
瀋陽では断水は生活の一部になっており、オモシロ可笑しくブログにしましたが、
台風被害をはじめ、さまざまな災害で被害にあわれ、
不自由な生活を送っていらっしゃる方が、まだまだたくさんいらっしゃいます。
一日も早い復興をお祈りするとともに、傷つき疲れた心身が、
一刻も早く癒され、回復されることを、心より願っております。
また、蛇口をひねればすぐに水が出てくる生活が、当たり前ではないことを再認識し、
今この便利で幸せな生活を、大切に過ごしたいと思います。